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「今日は局長さんたちは朝ご飯いらないって言ってたわよ?
確か、3人で朝から幕府のお偉いさんの接待だって言ってたわ」

「そうなんですか?」


(初耳……)

私が驚いて目を丸くしていると、おばさまは言った。


「遅くても夕方までには戻ってくるらしいわよ?
だから、心配しなくても大丈夫じゃないかしら?
きっとちゃんと渡せるわよ、チョコ」

クスリと笑みをこぼしながら言われ、私は静かに頷きを返した。









.









その日の夕方。

お兄ちゃんたちが帰ってきたと聞いて、私ははやる気持ちを抑えながら屯所の廊下を足早に歩いていた。



私はまず、お兄ちゃんの部屋に向かった。

「お兄ちゃん?入ってもいいかな?」

障子越しに声をかけると、お兄ちゃんの明るい声が返ってくる。

「Aちゃん?どうしたんだ?」



スッと目の前の障子が開いて視線を上げると、不思議そうな顔をしたお兄ちゃんが私を見下ろしていた。

「あ……あのね、今日はバレンタインでしょ?
だから、チョコを作ってみたの。
受け取ってくれる……?」

今更不安を覚えてしまい、言葉尻を窄ませてしまいながら尋ねると、お兄ちゃんは驚いたように言った。


「え?い、いいの……?!」

「うん、もちろん!
お兄ちゃんにはいつも優しくしてもらってるから……ささやかだけど、お礼の気持ち。
これからもよろしくね」


笑顔でそう言い切ると、お兄ちゃんはふわっと破顔した。

「そうか……そうかァ……。
嬉しいなァ……。
ありがとうなァ、Aちゃん。
ホントに嬉しいよ」

本当に嬉しそうにチョコを見つめながら言うお兄ちゃんに、私の心もふんわりと暖かくなっていく。



暫く「嬉しいなァ……」と呟いていたお兄ちゃんだったけれど、ふと気づいたように言った。

「……え?今日って、バレンタイン?」

「うん、そうだよ?」



思わず私もキョトンとして言葉を返すと、お兄ちゃんは「こうしちゃいられない!」と言って部屋に戻り、隊服から私服に着替えて出てきた。

「バレンタインなどという重大なイベントを忘れるとは……!
近藤勲、一生の不覚!!!」



そう言って廊下を走って行ってしまおうとしたお兄ちゃんは、途中で何かに気づいたように立ち上がり振り返って言った。

「チョコ本当にありがとう!
後で味わって食べるな!」


そう言ってにかっと笑うお兄ちゃんが眩しくて。
私は目を細めながら「お妙さァァァァァん」と叫びながら走っていくお兄ちゃんを見送った。

*→←【番外編】バレンタイン 2020ver.



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 神威   
作品ジャンル:アニメ
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赤羽@美羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2020年3月13日 9時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ面白いです!さっそくお気に入り登録しちゃいました!更新楽しみにしてます、頑張ってください! (2020年3月12日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年9月11日 7時

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