十九輪 ページ26
ゼラチンがあるかどうかが心配だったけれど、流石坂田さん。
甘党を自称していただけあって、甘味を作るための材料はほぼ一通り揃っているように見えた。
(今度、甘味作り教えてもらおうかな)
私の甘味のレパートリーは、おかずのレパートリーに対してかなり少ない。
(そーくんも甘いもの好きだったはずだし……作ったら喜んでもらえるかな)
今度頼んでみよう、と考えながら、私はゼリー作りに必要な材料を取り出し、早速調理に取り掛かった。
30分後。
「よし、できた」
一通りの作業を終え、私はほっと一息をつく。
「あとは固めるだけ……」
ゼリーは大体2時間くらい冷やせばいいはずだから……。
(3時30分くらいかな。
……そういえば、さっき洗濯機が鳴っていたはず。
洗濯物を干し終える頃には食べられるかな?
あ、でもその前に神楽ちゃんたちの様子を見に行って……)
そう思いながら私は使ったボウルなどを洗い始めた。
(……坂田さんの服、同じ柄のばかりだったな)
しばらくして。
洗濯物を干し終えて、私は再び台所のシンクの前に立っていた。
洗濯物を干すとき、同じ柄の服ばかりあったことを思い出す。
(男の人って、あまり着るものには気を使わないのかもしれない)
使う人も、いるのかもしれないけれど。
そんなことを考えながら、私はゼリーの様子を確認する。
(あ、よかった)
ゼリーはうまく固まっていて、私はホッと安堵の息をこぼす。
(坂田さんたち、喜んでくれるといいけど)
少し不安な気持ちを抱えながら、私は坂田さんたちがいる部屋の襖をそっと開く。
「……坂田さん、新八さん、神楽ちゃん。
起きてますか?」
小さめの声で声をかけると、先程よりは大分元気そうな声が帰ってきた。
「Aさん?どうじたんですか?」
「あの、ゼリーを作ってみたんです。
もし食べられるようならおやつにどうかと思ったんですけど……」
と、私が言い終わるか終わらないかというタイミングで、「マジでか!」と神楽ちゃんが起き上がる。
「A、ゼリーアルか??」
期待にキラキラと目を輝かせている神楽ちゃんに、私は頷く。
「うん。丁度さっき林檎を買ったから、林檎のゼリー」
「わぁ!食べたい!食べたいアル!」
神楽ちゃんの喜んでいる様子に頰を綻ばせた私は、頷いて言った。
「うん、分かった。すぐに持ってくるね。
坂田さんたちは、どうしますか?」
「あ、じゃあ僕は頂きます」
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赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時