十一輪 ページ12
坂田さんは大袈裟なガッツポーズをすると、私がテーブルに置いたケーキの箱を開け、「うっひょー!」と嬉しそうな声を上げる。
「新八!皿とフォーク持ってこい!」
そう新八さんに命令した坂田さんは、奥の部屋に行き、「いちご牛乳」を手に戻ってきた。
その後から新八さんもお皿とフォークを手に戻ってきて、テーブルにそれらを並べていく。
神楽ちゃんは坂田さんの隣に座り、今か今かとソワソワして目を輝かせながら新八さんが作業を終えるのを待っていた。
新八さんが作業を終え、「それじゃ、選び……」と言いかけた時。
2人は物凄い勢いでケーキを選び、口に詰め込んでいく。
「う〜ん、美味しいアル!」
「いやぁ、甘いものはやっぱりいいなぁ!」
その姿を暫く私は呆然と見ていたけれど、すぐに新八さんは我に帰り、ツッコミを入れだした。
「おいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!!
お前ら少し落ち着けえええええぇぇぇぇぇ!!!!!
どんだけ食い意地張ってるんですかアンタら!!!
せめてお客さんがいるときくらいお行儀良くしようとか思わないんですか!!!」
「新八〜、早くしないとお前の分なくなるアルよ」
その言葉にハッとケーキを見ると、10個以上は買ってきたはずのケーキが残り3個になっている。
「あ、ちょっ!?
僕、まだ一つも食べてないんですけど!?!?」
新八さんは慌ててそういうと、自分のケーキを凄い勢いで確保し始めた。
(もうちょっと買ってきた方が良かったかな)
そんなことを思いながら、私は新八さんがさっき持ってきてくれたお茶を啜る。
そのまま私は、万事屋さんの
「美味しかったアル!ご馳走さま〜」
「アンタたちがほとんど食べちゃったせいで僕一個しか食べられてないんですけど……?」
「いやぁ〜、ありがとね、Aちゃん」
「いえ、ほんのお礼ですから」
あの
「一個しか食べられなかった」と落ち込んでいる新八さんを見て、(あとでお妙さんと新八くん用に買って行ってあげようかな)と考えていると、私の言葉に何か引っかかるものがあったのか、新八さんが言った。
「お礼、ですか?」
「はい」
私は頷いて続けた。
「お見舞いに来ていただきましたから……。
元気になったので、報告に行くのが道理かな、と思ったので」
「そんな!気にしないでください!」
70人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時