四輪 ページ6
「Aちゃん、起きて。Aちゃん」
「ん……?」
私が目を覚ますと、ミツバ姉はいつもと変わらない優しい笑みで微笑んでいた。
「おはよう、Aちゃん」
「……おはよう、ミツバ姉」
まだ半開きな目をこすりながら窓の外を見ると。
「うわぁ……!」
空を貫きそうな勢いで立っているビル。
まだ早朝なのにも関わらず沢山飛び交っている宇宙船。
見慣れない景色が広がっていた。
そして。
「あれ……」
江戸の中心には、他のビルより何倍も大きいターミナルが立っていた。
「大きいわよね」
「うん……!凄いね、江戸!」
己の語彙力が低下していることがあからさまに分かるくらい、初めて見るものばかりの景色に、私は圧倒されていた。
ミツバ姉は暫くそんな私を微笑ましげに見守ってくれていたけれど、やがて言った。
「あと数時間で駅に着くみたいだから、そろそろ準備をしましょう。
そろそろ駅員さんがお弁当を売りに来てくれる頃だとも思うわ」
「うんっ!」
その後私達は江戸の街並みに感嘆の声を漏らしながら朝ごはんを済ませ、列車を降りたのだった。
「うわぁ……!」
駅を出ると、とても高いビルや、行き交う人々が目に入る。
ビルは列車の中からも見たけれど、やっぱりとても大きかった。
「人が多いわね……」
そう言ってミツバ姉は咳き込む。
「っ、大丈夫…?」
「えぇ、大丈夫よ」
ミツバ姉は笑って言った。
「Aちゃんは心配性ね」
「っ、そんなこと……」
「迷子になると困るから……」
そう言って、ミツバ姉は私の手を優しくとった。
「このまま行きましょうか」
「うん」
ミツバ姉が手を繋いでくれたことが嬉しくて、私は、ミツバ姉の手を優しく握り返した。
繋いだ手は、ミツバ姉の優しさをそのまま表すかのように、とても暖かかった。
暫くした後、私達は地図を頼りに屯所に辿り着いていた。
「此処が屯所……」
屯所はとても大きくて、真選組が大所帯であることが、充分すぎるほど伝わった。
チラリとミツバ姉の様子を伺うと、少し、ほんの少しだけ表情が硬い。
十にぃに会うことが、怖いのかもしれない。
もし私がミツバ姉の立場だったら、結婚が決まった自分が、十にぃにどんな顔をして会えばいいのか、分からない。
ミツバ姉にかける言葉が見つからないままふと屯所の中に目を向けると、見知った顔を見つけることができた。
「お兄ちゃん!」
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あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時