四十七輪 ページ49
次の日。
昨日のミツバ姉の手紙で色々悩みが晴れたりなんだりした(察して!)私は、障子から差し込む朝日で目が覚めた。
(……朝……)
起きなければ、と思い体を起こそうとしたのだけれど。
(……身体が、重い……)
「ケホッケホッ」と咳をしながら布団から起き上がろうとするものの、なかなか身体が言うことを聞いてくれない。
何とか頑張って身体を起こしたはいいものの、頭がガンガンしてそのまま布団に倒れこんでしまう。
(……これは)
「っ……ゲホゲホ」
(……風邪、引いちゃった……)
風邪を引いてしまったかもしれないことに気付いた途端、ゲホゲホ、と、とにかく咳が止まらない。
(どうしよう……)
お兄ちゃんか誰かに言って、薬を貰いたいのに、身体は全然動いてくれない。
すると、「A〜、そろそろ起きねェと土方さんにドヤされるぜ?」という声が聞こえる。
「っ……コホッコホッ、そー、く……っ?」
咳をしながら何とか声を絞り出すと、襖が開き、怪訝そうな顔をした隊服姿のそーくんが顔を出した。
「おい、どうしたんでィ」
「そー、く……ゲホッ……風邪、引いちゃったみたいで……」
その言葉を聞くと、そーくんは少し眉を上げ、部屋に入ってくる。
「ゲホッ、ゲホッ」
「……」
そーくんは何も言わずに私の隣に腰を下ろし、「こっち向け」と言う。
「……?」
不思議に思いながら顔を向けると、額にひやりとした感触がして、思わず「ひゃ」と声を上げてしまう。
思わず見ると、私の額にそーくんの手があてがわれていた。
(……びっくりした……でも……)
しかし、驚いたのは一瞬で、次の瞬間には冷静になり、そーくんの手の冷たさを心地よいと感じるようになった。
(ちょっと、気持ちいい)
「……あー、ちょっと熱があらァ。
ちょいと待ってな。山崎に薬持って来させっから」
「ぁ……」
そーくんはそう言ってすぐに立ち上がってしまい、額に触れていた手も離れていってしまう。
そうして、そーくんは部屋を出ていってしまった。
そーくんがいなくなった部屋で、私は咳をしながら、ぼんやりと考える。
(……寂しいな)
やっぱり、具合が悪いと弱気になってしまう、というのは本当らしい。
今まではミツバ姉がいつでも側にいてくれたから、そんなこと考えたことなかったのだけれど。
(誰か、来てくれないかな)
(……違う)
“誰か”じゃなくて。
……お兄ちゃん。十にぃ。
(そーくん)
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あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時