【銀魂】リコリスの花束を君に【沖田総悟】

十二輪 ページ14

「あら、いやだわ新ちゃん。
正真正銘、私がかぶき町の……」

「もう良いですから！！！」


「メガネ、お前うるさいアルよ。

あ、これは“メガネ”ネ」

と、メガネさん？を指差して神楽さんは言う。

「ほら、何か言うヨロシ」と言った神楽さんに、メガネさん？はまた鋭いツッコミを入れた。


「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇ！！！！！

何だよ“メガネ”って！！」


「うるさいアル、メガネ。
メガネはメガネらしく大人しく掛けられてれば良いアル」

「え、待って、本体僕なんですけど」



はぁ、とため息をついて、メガネさん？は言った。



「えっと、僕は志村 新八です。
よろしくお願いします。


……あ、この2人の言うことは信じなくて良いですからね！？」


「と言うか、寧ろ信じないで下さい！？」と凄い勢いで言ってきた志村さんに、思わずたじろいでしまう。


「あ、はい。分かりました……？」


そこまで言ってから、私は、(あれ？)と不思議に思う。

志村さん(女)も志村さん(男)も、苗字が志村……？



「あ、あの、もしかして志村さん達2人は姉弟なんですか？」

私の言葉に頷き、志村さん(男)は言う。

「はい。こっちは僕の姉上です」


やっぱり！


「……なら、あの、2人のことは、名前で呼んでも良いですか？」

「はい、勿論です！」

「私も名前で呼んでもらえた方が嬉しいわ」



と、そこまで会話をしてから、私は自分自身が自己紹介をしていなかったことに気づく。


「あ、えっと、遅くなってすみません。

私、姫宮 Aと言います。
よろしくお願いします、神楽さん、新八さん、お妙さん」


「神楽“さん”って余所余所しいアル。
敬語もやめるアル。

もっとフレンドリーで良いネ」

フレンドリー……

「じゃあ……神楽ちゃん」

“さん”から“ちゃん”に呼び方を変えると、神楽ちゃんは満足そうに頷いてくれた。

「それで良いネ！」



「……姫宮？貴女、あのゴリラの妹さんじゃないの？」

私の言葉にキョトン、としてお妙さんは言った。


「ゴリラ」って、お兄ちゃんのこと……？


……いや、そうだよね、今までの話の流れから行って。


「あ、私達、血が繋がっているわけではなくて……。

ただ、物心ついた頃から一緒にいて、私にとっては本当のお兄ちゃんのような存在なので……」





今でも、鮮明に思い出せる光景。

お兄ちゃんが私に向かって笑顔で手を差し伸べて、
「一緒においで」
と言ってくれた、大切な思い出。

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