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「小夜左文字様、少し宜しいでしょうか。」
翌日の夕刻。
廊下を歩いていた彼を見つけ急いで呼び止める。
小夜「…なに？」
「例のもの、届いておりますよ。」
そういうと途端に目をキラキラさせて彼がトコトコと走ってきた。
冷めている子かと思っていたがこういうところは子供らしくて本当に可愛い。
「はい、どうぞ。」
箱から笠を取り出し彼に渡すと彼は、信じられないといった顔つきで恐る恐る笠を受け取った。
小夜「わあっ…すごい…。」
「この本丸には笠は他にもあるんですか？」
小夜「……ある、かな。遠征行く時とかみんなかぶるし…。」
「そうですか。ならお名前をつけておいた方が宜しいのでは…？」
小夜「名前？どうやってつけるの？」
「少々お貸しください。」
笠を受け取り、布飾りの裏に白の糸で表から見えないように名前を縫う。
「片仮名ですが…これで誰のものか一目瞭然です。」
小夜「…ありがとう、大事にする。」
早速小夜が背中に笠を背負った。
「よくお似合いです。」
小夜「…そうかな。
あ、そういえば…これ。」
小夜が懐からスルスルと白い長い布を出した。
包帯だ。
小夜「これ、落ちてたよ。」
「あぁ…干すときに落としてしまったんですね…。申し訳ありません。」
そういうと小夜はこちらをじっと見つめてきた。
小夜「ねえ、これ。…あなたのじゃない？」
「は………？」
小夜「だって。僕たち怪我してるけど手入れしないと治らないからもうみんな包帯なんてまかなくなったんだよ。
してたとしても血で染まって洗っても綺麗にはならない。
でもこの包帯は真っ白。
あなた、しかいないんだ。これ使ってるの。
…どこか、怪我してるの？」
まっすぐな瞳で見つめられる。
子供相手であっても、その目を見ると嘘などつけないことを悟った。
「………えぇ、しています。
怪我、というか、怪我の跡を隠すために。」
母親が交通事故で亡くなった。
母の運転していた車には幼い頃の私も乗っていた。
私も事故に遭ったのだ。
幸い、一命は取り留めたものの、全身に怪我を負い、特に右足の膝から下がひどかった。
傷跡は年とともに薄れていっているが消えるわけではない。
そして後遺症も、消えることはなかった。
私は、右足が、うまく動かない。
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オーキッド(プロフ) - 輝さん» コメントありがとうございます。もちろん乱は男ですが姉さんと呼ぶ方が乱は喜ぶという設定です。あまり気づいてくださる方がいないのでこのようなコメントは嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年7月23日 9時) (
レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - 31話で五虎退が乱を"乱姉"と呼んでいましたが乱は男なので乱兄では？ (2018年7月11日 13時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - はにーまかろんさん» はにーまかろん様、いつもコメントありがとうございます。刀剣達はまだ全面的に主人公が好きという感情を表に出したくないので刀剣:不器用かつ意地悪vs主人公:気弱、な争い(?)が起こっていく感じですね。これからも宜しくお願いします。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
はにーまかろん(プロフ) - 天下五剣の冷笑は暑い夏にぴったりですね！とまあ冗談はさておき、最新話読ませていただきました。お、これは主人公ちゃんへの独占欲が出ているのか！？刀剣男士の反応の意味を１人１人想像しながら楽しく読んでいます。長文＆乱文失礼致しました。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: 578cdfafe4 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - (aya*)W.H)さん» ありがとうございます。どちらのシリーズでも少し重い話が入ります。これからもよろしくお願い致します。 (2016年6月15日 7時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オーキッド
| 作成日時：2016年5月26日 6時
