【あんスタ】死にたがりヒーロー

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朝からどんよりと曇っていた空は、昼過ぎになってやっと雨を降らせました。

なんだか天が泣いてたようで、絶好の死に日和だなあ、なんて呑気に考えます。




「Aーー！ いるか！？」





ああ、五月蝿い人が来ました。彼の名は守沢千秋。


詳しく言うならば、僕の属しているユニット、流星隊のリーダー。
その時の彼は流星レッドといいます。

ちなみに僕は流星パープル。
毒々しい色で結構気に入っていたりするんです。




「はい、どうしましたか？」




早足で彼の元へ近づきます。
あまり彼を教室内に滞在させ続けると、いい事がありません。というか、あった試しがありません。



「今日のユニット練習の事なんだがな、」




そう言って話が進みます。彼は存外、ユニット活動には人一倍熱心な気がします。

大好きなヒーローになっている、という自己愛のようなものもあるかもしれません。
が、僕はその裏に何かがあると踏んでいます。


適度に相槌を打ち、内容を頭に入れていきます。記憶力には自信がある方です。





『…はい、分かりました。
もう授業が始まりますし、3階へ行ったほうがいいんじゃないですか？』




そう促すと、千秋先輩は時計を見て驚いたような表情をします。

そんなに驚くことでしょうか。



…そうですね、僕も3階までついて行ってもいいかもしれません。




「むっ、A？ 授業があるんだから教室へ戻らないといけないんじゃないか？」


『いえ、今の時間は屋上へ行きます』




そう告げると、がっしりと肩を掴まれます。かなり痛いです。
千秋先輩はバスケ部で鍛えているので、筋肉はついている方です。



「と、飛び降りるなよ！？」


いつになく必死な形相です。
というか、何故バレたのでしょうか。
雨も降ってきたことだし、これ以上にないチャンスだと思うのですが。


不満が顔に出ていたのでしょうか。肩を掴む手に力が入ります。

千秋先輩が叫ぶので、3年生の先輩がたが教室から出てきてしまいます。
ああ、チャイムも鳴ってしまいました。皆さん戻らなくていいんでしょうか。



「ちょっとぉ、ずーくん今日は何ぃ？」



瀬名先輩です。僕はこの先輩が少し苦手です。
僕のクラスのゆうくんこと遊木真くんをストーカーのように追いかけ回しています。

ちなみにずーくん、というのは鈴原のず、らしいです。安直だと思います。


『いえ、少し屋上に行こうとしただけなんですが……』



なぜ皆さんそんなに止めるのでしょうか。

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