意外な特技 ページ28
一期side
先程から皆が騒がしい。
皆、ウキウキと大広間に向かっている。
私は通り掛かった鶴丸殿に何があるのか尋ねた。
鶴丸「何やら雪殿が大広間で何かをするらしいぞ」
一期「雪殿が？」
鶴丸「ああ。何をするかは分からん。だが、面白そうだろう？」
一期「はあ。なら私も行かねばなりませんな」
大広間には既に全ての刀剣が集まっていた。
雪殿と主殿は皆の前に座っていた。
…鶴丸殿の琴を用意して。
鶴丸「ん？あれは俺の琴ではないか？」
雪「ごめん鶴丸、借りるわ」
鶴丸「こりゃ驚いた」
一期「私達も座りましょう」
私達は一番前に胡座をかいた。
雪「えーと、私は、この子の姉の、雪です。先程は迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」
『そこで…お詫びと言っては…あれですが…姉が…琴を弾きます…』
途端に皆ざわめき始めた。
一期(へえ、あの御仁にそんな特技が)
しかし、雪殿が爪を立てると、一斉に口を閉じた。
雪殿は指を滑らせた。
───♪…♪……♪♪…
最初は単音。
響きを感じ、音の重なりを楽しむように、一つ一つの音を愛しそうに弾いた。
そして、二音、三音と増えていく。
長調で、かつ切ない旋律。緩やかなようでしっかりした弾き。
一期(嗚呼…美しい…)
そう思ったその時
ずっと下を向いていた主殿の口が開いた。
『♪ きみ おもう 心はあれど…』
雪「‼」
『♪ きみは 私などには 振り向きもせず』
なんと、歌い始めたのだ。
しかも、とても澄んだ御声。
♪…♪♪…♪…♪…
『♪ ずっとずっと 前を見て その澄んだ心で 夢を信じていた』
鶴丸「なんと…」
乱「綺麗…だね…」
宗三「こんな特技があったんですね…」
主殿は区切りがいいところまで歌うと、口を閉じてまた下を向いた。
また琴の音が響く。
その琴の音も、一頻り響いた後に終わりを迎えた。
雪殿はそのまま一礼して、顔を上げた。
雪「以上です」
誰ともなく拍手が送られた。
それはすぐに拍手の嵐となり、2人を包んだ。
雪殿は白い頬を桃色に染めた。
雪「ありがとう皆。こんなに拍手を貰ったのは初めて…」
鶴丸「いやあ、驚かせて貰ったぜ。俺は琴を持ってはいたが弾けなかったからなあ」
雪「逆になんで持ってたのか気になるんだけど。ところで、今の演奏はお詫びになったかしら？」
加州「なったよ。すごく綺麗だった」
雪「ありがとう。…そろそろ戻らないといけないわ」
『…姉様』
ぎゅっ
主殿は雪殿を抱きしめた。
『…元気でね…』
雪「貴方もね」
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リンリン(プロフ) - 銀河さん» 遅くなりましたが、感想ありがとございます！これからも頑張って更新していきます！ (3月23日 12時) (
レス) id: f528c3e1a1 (このIDを非表示/違反報告)
銀河(プロフ) - 受験勉強お疲れ様です！続きがとても楽しみです！ (2018年1月21日 16時) (レス) id: 1c52cf51ca (このIDを非表示/違反報告)
リンリン(プロフ) - 凪花さん、感想ありがとうございます！楽しんでもらえて恐縮です…。更新は不定期ですけど、お付き合いください。 (2017年5月10日 19時) (レス) id: 280584da08 (このIDを非表示/違反報告)
凪花(プロフ) - 初めて読む刀剣乱舞小説がこんなに素晴らしいなんて…ますます沼にはまってしまいました。続き楽しみにしてます！ (2017年5月8日 6時) (レス) id: 254f4e5b63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンリン | 作成日時：2017年4月3日 18時
