ミンソクさんなんか大嫌い

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急いで自分の部屋まで行って鏡の前であれでもないこれでもないとファッションショーする。
メイクにも力を入れたし、髪の毛も綺麗に巻いたし、楽しみにしてるお父さんを悲しませないように頑張ろうって誓った。






夕方になって、お父さんと車に乗り込む。
閑静な住宅街をすぎれば大きな料亭についた。昔からお父さんについてきたりしていたから、料亭に来るのは慣れていたつもりの私だったけど、着物を着た女の人に案内されて通された部屋に驚いた。





和の雰囲気がすごくて、テレビドラマで見かけそうなくらい高級な感じ。
雰囲気に飲まれそうで怖気づく。








座布団に座ればドキドキしてきた。社長と話したことなんて1回くらいしかないし、手汗が溢れる。





どこを見て待っていればいいのかも分からなくて部屋をキョロキョロ見回す。
そしてわたしはあることに気づいた。
これって4人分の席じゃないかって。






「お父さん、来るの社長だけだよね？」





嫌な予感がしてそう尋ねる。
違ってあってくれと願うけれどすぐにその願いは崩された。




「キム社長と息子のミンソクさんが来るよ」





悪い予感的中。






「帰る」




「なんで？！」




「来るなんて聞いてないし」




「あれ言ってなかった？」




「言ってないよ！」





今にも泣きそうな私。
これからは関わらなくて済むはずだったのに…もし会社で話しかけられることが増えたら…



こんなこと考えて吐きそうになってるわたしって相当ミンソクさんのこと嫌いじゃん。







「Aの上司って聞いたんだけど。親子共々これからも宜しくっていう会食なんだよ」




ガハハと笑うお父さんを無視して、俯く。
帰る方法ないかな？って必死に考えたけどもう遅い。




向こうから聞いたことのある声が近づいてきて、障子にふたつの影が映った。








 

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