襲来 ページ35
【堀川side】
「堀川、あれって...！」
「...っ、時空の歪みだ！」
橙色のその不気味な光を目にした瞬間、僕とAは弾けたように駆け出した。
「どういうこと？遡行軍が来るのは明日の夜じゃ...」
「伝書鳩にはそう書かれてた。けど...」
今、時空の歪みが現れた。
理由なんて分からない。でもあれは間違いなく遡行軍を吐き出すそれだ。
あそこから、無数の時間遡行軍がやって来る。
「とにかく兼さん達と合流しよう」
人が多くいる通りを避け屋根に飛び乗り駆けて行く。その途中で。
「堀川、A！」
「！薬研さん！」
別行動をしていた薬研さん達が、同じように屋根を駆けてきて合流する。
三人の顔も、ただ驚愕に歪んでいた。
「こりゃ一体どういうことなんだかな...」
「遡行軍も耄碌したのか？だとしたら嬉しい限りだが…これはいらない驚きだなぁ」
薬研さんと鶴丸さんがぼやく。敢えて緩い物言いをしても、その顔は緊張で張り詰めていて。
...一体何が起こってるんだ。
「！和泉守殿、陸奥守殿！」
「兼さん！」
「国広！」
蜻蛉切さんの声に我に返り下に目を向けると、そこには今まさに駆け出そうとする兼さん達がいた。
「全員いるか!?」
屋根に飛び乗り駆けながらそう問うてきた兼さんに頷く。
兼さん、これはどういうことなの？
頭に浮かんだその疑問を鶴丸さんがその場の全員を代表して口にした。
「和泉守、これは一体どういうことだ？」
「俺も分からねえ...主からの命は伝書鳩でお前らに送った通りだが...」
隊長である兼さんも状況に頭が追いついていないのか顔を歪めてそう答える。
その時だった。
「千歳様から入電です！」
「「！」」
『お前ら全員聞こえるか!?』
こんのすけの声に続き、脳内に直接主さんの声が響いた。
焦りを含んだその声に、ただならぬ何かを感じて冷や汗が顎を伝う。
「主、今の状況を教えてくれ！」
「何が起こっとるんじゃ!?」
屋根から飛び降りながら、兼さんと陸奥守さんが叫ぶ。僕らもそれに続いて地に降りた、
その、瞬間。
「っ、来るぞ!!」
薬研さんの声が響くと同時に、橙色の光の中央から稲妻が走り降りた。
そして。
「！やめろおおお!!!」
気づいた兼さんが叫ぶ。
耳を劈く轟音と共に、
赤い炎が踊り舞った。
橋の向こうに建つ建物が炎に包まれ燃え上がる。
憎たらしいほど鮮やかな赤を背景に、現れた遡行軍達が刀を構えた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
