奪ったものは ページ20
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"命"というものは、常に僕らの傍にある。
その言葉の意味も、重さも、誰よりも知っている自信があった。
それでも。
「...え...？」
音を成していたか分からないそれが口の端から零れた。
...死んだ？
彼女達の家族...親が、兄弟が、
『お侍様、こんにちは！』
あの雪髪の少女が、死んだ？
「全員死んだって...」
思わぬ言葉に陸奥守さんが声を震わす。他の皆も動揺の表情を浮かべた。
「...病気、か？」
「違う」
少し遠慮気味に薬研さんが問う。すると食い気味に冬夜さんが答えた。
顔を俯かせ形の良い唇を噛み締める冬夜さんの肩は、ふるふると震えている。
「病気なんかじゃねえよ」
「と、冬夜、」
少し戸惑いながら窘めるように真白さんが弟の名を呼ぶ。
しかし冬夜さんはそれを無視し、ぽつりと言葉を零した。
「......殺されたんだ」
「...え？」
「......俺達の家族は、全員鬼に殺された」
「「っ!!」」
ひゅ、と息が止まったのが分かった。
真白さんが俯き、誰も言葉を発さない、時が止まったようなその空間に、冬夜さんの声だけが響く。
「...今巷で鬼の噂が出てるだろ、そいつらの」
「あいつらが殺したのか!!?」
「いつじゃ!!!」
「っ!?」
続いた冬夜さんの言葉に、兼さんと陸奥守さんが冬夜さんに掴みかかった。冬夜さんは驚きに目を見開く。
「おい二人共！」
咄嗟の薬研さんの制止の声にも二人は冬夜さんに詰め寄ったまま。
その心中を察するのは容易い。だって、
噂の鬼は、時間遡行軍で。
二人の家族を殺したのが、あいつらなら。
僕らは遡行軍に対抗する手段、方法なのに、
その役目を、果たせなかったことになる。
もうすっかり絆されてしまった彼らの家族を、僕らは...。
「...っ」
声が出なかった。
あの子の顔は鮮明に思い出せるほど覚えてる。その手に抱えられたこともあった。それなのに。
...鬼に殺されて死んだ、なんて。
「...あんたら、もしかして鬼を倒すために旅してんのか？」
「...！」
沈黙を破った冬夜さんの言葉に、兼さんと陸奥守さんがはっと手を離す。
僕らの素性を明かすことは出来ない。でももし遡行軍が彼らの家族を殺したなら、その話を僕らは聞かなければならない。
「...ああ、その通りだ。だからその話、聞かせてくれないか」
「...」
兼さんの声が宵に溶け込んでいく。
真白さんの口から語られたそれは、まるで何処かのお伽噺のようだった。
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
