あの人だけや ページ9
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Aは結局大耳に言われたことは無理だと察し、次は2年1組に来ていた。そこでは宮治と角名倫太郎が丁度昼食を取っており、治はAに気付くと嫌そうな顔をする。
楽しい昼飯時に妹の恋バナに付き合わされるのは心底疲れるからだ。
案の定、Aはしょげた顔をして治に抱きついた。豊満な胸が頭に当たるが、治は無を貫き通す。こんなことで動揺していては年頃の妹と一緒に住めるわけが無いのだ。
「おさむぅ〜」
「引っ付くなや暑苦しい」
「じゃあ角名くんに行くで、ええんか」
「ん、おいで」
「アカ――ン!!アカンでA!!」
「何でツムがおんのや」
どこからとも無く現れた侑はAと角名の間に入る。治はAとはそれほどベタベタしている訳では無いが、侑の方は完全にシスコンを拗らせていた。侑はAに後ろから抱きつくとそのまま近くの椅子に座り、治のお菓子に手を伸ばす。
こういった風景は最初とて周囲の人間に驚かれたものだったが、既に今は名物と化しておりわざわざ宮兄妹のファンが見に来るという謎現象も起きていた。
「練くんがな、大人し女になりたかったら北さんにプロポーズすんのやめぇ言うねん!どう思う!?」
「いやどう思うて、正論やなぁて」
「Aちゃん大耳さんから正論パンチ食らったんだ♡」
「ちゃうわ」
侑の足の間に座ってお菓子を食べるAは、明らかに昨日の北の好みを気にしているようだった。残りのふたつの条件はまぁクリアしているとして、"大人しい"という条件のみが全くもってクリア出来ていないのだ。
うるさかった人間にいきなり大人しくしろというのも無理な話だし、手っ取り早く大人しくさせるにはAの場合あの公開告白を止めるべきだと周りの人間は思っていた。
「ここが諦めるチャンスなんやないの」
ポリ、とポッキーを齧っていた治が徐にそう呟く。その言葉に侑も角名もAも、全員が絶句した。Aが北を好きになったのがいつ頃なのかは知らないが、相当な月日が経っている気がする。その間、Aは北に愛を叫び続けいつも明確な理由を知ることなく丁寧に断られ続けていた。
治は治なりに、そんな妹を励ましたいと思ったのだ。なにもこの世の中の男子が北だけでは無い。他にも良い奴がいるよ。そう言いたかったのだが
「私、北さん以外好きになれへんねん」
また真っ直ぐとした瞳でそう言い切るA。何度フラれようとも拒絶されようとも構わない、振り向かせてみせると訴えているようで
治は余計なこと言うたかな、と去っていくAの後ろ姿を見て頭を掻いた。
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かなで(プロフ) - この間初めて読んだのですが、面白すぎて一気読みしてしまいました！評価ボタンが一つなのがとても惜しいです笑 これからも頑張ってください！ (2020年3月8日 15時) (
レス) id: e96d9c0e1e (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 月埜さん» 月埜さん、コメントありがとうございます。連載当初から見ていただいて、こちらも感謝の気持ちでいっぱいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2020年2月26日 22時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - 完結おめでとうございます。公開初日から読ませて頂きました。月並みな言葉しか言えませんが、主ちゃんと北くんの関係が最初から最後まで本当に素敵だなと思いました。素敵なお話をありがとうございました！ (2020年2月26日 18時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 柿山さん» 柿山さん今回もお目に止めて頂きありがとうございます!!真っ直ぐな主人公とそれを蔑ろにしてくれない北さんのモダモダした関係が続きますが、気長に読んでいただけたら嬉しいです! (2020年2月14日 10時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
柿山(プロフ) - あああ〜〜もう今回も今回とて好きです!!!夢主さんの北さんに対する真っ直ぐすぎる感情表現が堪りません…!!しかもそれを雑に扱うのではなく、丁寧且つスパッと対応する北さんの在り方も素晴らしいです!!!これからゆっくりと楽しみにしております…!!! (2020年2月13日 22時) (レス) id: 296b088bbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴいち | 作成日時：2020年2月13日 21時
