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第三話 ページ3

『い……っ!』

「あ、悪い」


痛みを感じたのは、一瞬。


『いやっ、あ、あっ』

「吸血鬼は吸血するときに、痛みを快楽に変える物質の混ざった唾液を牙を刺したところに流し込むんだ……。

先にするのを忘れていた」

『あ、あうっ』

「それにしても……」


じゅるり、と啜る音。


『ひあんっ!?』

「随分と感度がいいんだなぁ?

情事の女よりよく鳴くじゃないか」

『し、しらなぁっ、あっ、もうやめっ』

「俺は食事をしてるだけだぞ?」


ぺろり、と穴の開いた皮膚の表面を舐められるのだけでも、快感が脳を突き抜けていくようだ。

甘い毒は俺の脳をトロトロに溶かしてしまう。


『やっ、やだぁ、吸うならっ、早くしろよぉっ、あっ』


はしたない声を漏らしながらそう言うと、男は笑ったようだった。

ふぅ、と細い息が肌にかかる。


「……ああ、お前、可愛いなぁ」

『!?』


びくん、と身体が跳ねる。

何で、今、吸われた訳じゃないのに。


「もう少しだけ、我慢してろ」


どこか熱っぽい息を吐き出す吸血鬼は、また俺の肌に牙を突き立てた。






『……なんか、めっちゃ穴開いてるんですけど』


むす、としながら俺は男を睨み付ける。

ハイルは満足したように口元を親指で拭うと、不敵な笑みを称えた。


「お前が悪いな。

血も甘くて美味かったし」

『ああそう、じゃあ俺帰るから』


俺はふい、と踵を返して家路へ帰ろうとする。

もうこれ以上、この変なのに絡まれるのもごめんだ。

鞄を肩にかけなおし、路地裏から出ようとすると、ガシッと腕を掴まれた。

俺はめんどくさそうに眉を顰めて振り返る。

男は下を向いていた。


『……今度は何』

「決めた」

『何を』


そう聞くとハイルは俺を引き寄せて。


『なっ』


ちゅ、と唇の端にキスを落とした。








「お前を俺の嫁にする」

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血塗れの天使(プロフ) - スッゴく面白いです!!!更新楽しみにしています!!!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: 9249fdbb0e (このIDを非表示/違反報告)
空弥(くーや)???(プロフ) - そうなんだよねぇ、勃((((立ったんだよねぇ。だからフラグ立たないやつをもう一本投げようか考えてるb (2019年2月18日 23時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣@変態(プロフ) - なんかフラグ勃((立ったね爆笑 (2019年2月18日 22時) (レス) id: c160c5901c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(くーや)???@にゃん×2計画(プロフ) - 大手裏剣@変態さん» あざーっす(((ワイは18↑には手を付けてないんじゃあ……血を吸わせただけじゃあ……うふふ(合作はプロット書いてるからもうちょっと待ってくれよ〜) (2019年2月12日 22時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣@変態(プロフ) - えっつぃですよ空弥ピーヤ。おいしいれす。 (2019年2月12日 22時) (レス) id: c160c5901c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空弥 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年2月12日 20時

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