第五話 ページ6
極道*
「いらっしゃい、葵」
住吉の屋敷の前に車を止めると、桜色の着物を着た椿が出迎えてくれる。
ほんのりと朱に染まった頬、紅色の唇は艶やかに。
俺は作り笑いを浮かべた。
「随分とまぁ、綺麗な格好をしてるじゃないか。
椿」
「でしょう？」
椿は着物の裾を翻して、くるりと回って見せた。
俺と瞳があったかと思えば、聞いてもいない着物の色合いや仕上げ方、流暢に語りだすその姿に、適当に相槌を打った。
どうしてこう、女ってのは「ブランド」とやらに固執するのだろうか。
うちの大奥も似たようなもんだが。
「うふふ、でも会ってすぐ服を褒めるのは流石ね。
昔から、女を落とすのだけは上手いんだから」
「別に、俺は何も意図していない」
「でも綺麗って思ったから、言ってくれたんでしょ」
「……嗚呼」
「他の女に比べたらな」と心の中で付け足す。
「嬉しい」なんて笑う椿に嫌気が差して、「もういいだろ」と吐き捨てるように言った。
「今日は茶会の筈だ。
これ以上無駄話する気はない」
「……そんなに家に帰りたい？」
「は？」
きゅ、と服の裾を握られる。
驚いて彼女のほうを向けば、わざとらしく潤んだ瞳で。
「ね、私と奥さん、どっちが綺麗だと思う？
葵」
指先が俺の頬に伸びる。
ゆっくりと顔が近づいてくる――
ぱん、と。
俺は冷淡にその手を払った。
態勢が崩れ、尻もちをつく女。
俺は下卑た視線を女に落とした。
「くだらない質問をするな」
着物の襟を綺麗に直して、言う。
「その質問を俺にしてる時点で、あいつに負けてると思う部分があるんだろ、椿。
昔なら、「私のほうが綺麗」って堂々と言ってたのにその様か？
……堕ちたな、お前も」
はぁ、と哀れみの意味を込めて溜め息。
その後、彼女に手を差し伸べては。
「ほら、大事な茶会なのに着物が汚れるよ。
【椿ちゃん】」
歯を食いしばって俺を睨みつける椿を見て、紳士の仮面を被りなおした。
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空弥(プロフ) - 木の実☆（このみ☆）さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます！三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (
レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ﾊｧﾄ)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます！ウルウルしてくださったんですか!？ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます！私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます！こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空弥 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時：2018年9月24日 15時
