第三十八章 ページ41
「お、お嬢様、それでは……」
ボディガードさん――住良木さんは、動揺を隠せない表情で。
「椿様は、葵様が好きで、部屋に閉じこもっていらっしゃったんでしょう？
もともと椿様が許嫁であったのであれば、葵様の判断は可笑しい。
そもそも、彼らは男同士なんですよ！？」
「住良木、Aさんを開放して」
「しかし！」
「お願い」
椿さんがそう言うと、住良木さんは厭々そうな顔で俺を開放してくれた。
食事の量は十分では無かったし、体力も落ちているから身体を動かすのさえ辛かったけれど、俺は直ぐに葵さんの方へと駆けていった。
彼は俺が走ってきたのを、刀を捨てた左腕で抱き込み、強く引き寄せた。
久しぶりの臭いが、ぬくもりが俺を安心させる。
ふと視線を後ろにやると、椿さんがちょっぴり寂しそうに笑っていた。
「……葵にとって、私は幼馴染どまりなんだよ、住良木」
おもむろに、彼女が語りだす。
「馬鹿やって、昔あんなことがあったんだよ、って談笑して。
抗争の時は一緒に戦って、助け合う。
私ができるのは、そこまでなんだ」
「お嬢様」
「だって、葵。
……私といるときは、あんな顔絶対にしないんだもん。
葵は、男にだって女にだって、大抵は冷たい対応する。
それなのに、だったら……。
もう、これは私の立ち位置なんて何処にもないでしょ？」
どんな顔？と確認しようとしたら、ぎゅ、と抱き込まれる。
「余計なこと言うな」って、辛そうではあるけれど、いつもみたいな柔らかい声が聞こえてきて、それに笑った。
「だから私はいいのよ、住良木」
ふわり。
その名の通り、花が綻ぶ様に笑う椿さんを見て、住良木さんは僅かに頬を染めた。
俺には分かる。
あれは、決して叶うことのない恋をしている人の顔だ。
俺のほうは葵さんがぐいぐいくる方だったから気にもならなかったし、流されるがまま、といった感じだった。
でも、この人は違うんだ。
好きだけど、椿さんの幸せを第一に考えているから、その気持ちを決して伝えてはならない。
そう考えると、俺たちの方は恵まれているのかもしれない。
『葵さ』
そう名前を呼びかけたとき。
急に俺を抱き締める力が弱くなったかと思うと。
彼の身体が、後方にぐらりと傾いた。
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空弥(プロフ) - 木の実☆（このみ☆）さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます！三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (
レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ﾊｧﾄ)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます！ウルウルしてくださったんですか!？ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます！私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます！こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空弥 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時：2018年9月24日 15時
