第二十章 ページ21
Another*
「……椿お嬢様」
こんこん、と扉を叩いても返事は帰ってこない。
部屋の向こう側は音もなく。
まさか死んでしまっているのではないかと思うほどに、しんとしていた。
男にとって、毎日三度部屋に置く食事に少しでも手が付いていることが、一つの救いだった。
あの日。
あの日からだ。
「今後一切関わらないでくれ」というその言葉。
自分の主に黒い鉄の塊を向けられた瞬間、何もできない自分に腹が立った。
相手は他の組の将来の長、しかもお嬢様の好意を寄せる相手――
自分には、切りかかることも銃で撃ち抜くことも不可能だったのだ。
「……お嬢様」
一口だけかじられたサンドイッチを、生ごみの袋へと捨てる。
その瞬間、レタスもチーズもハムも、全て異物となり果てる。
排水口に流したオレンジジュースも、どこか濁って見えた。
あの元気溌剌で自信家だったお嬢様がああなのだ、不安になるものはなるというもの。
だから、だったのかもしれない。
「……男?」
機密ルートで調べた情報。
パソコンは闇に光る。
ごくりと唾を飲み込んだ。
「……この男をどうにかすれば、椿お嬢様との婚姻は成立するのでは?」
従者の呟きは、破滅への警鐘を鳴らす。
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空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時:2018年9月24日 15時