第十三話 ページ14
夕食の時間の後。
いつもは俺の向かいに座っている筈の葵さんが、今日は俺の隣を陣取っている。
代わりに前に座った少年を顰めっ面で睨みながら、どこか偉そうに足まで組んで。
全くもっておとなげない、というものだ。
テーブルの下では、何が不安なのか俺の手の上に自分の手を重ねてくるから、そのギャップに笑いそうになってしまった。
『ご飯、口にあったかな。
俺、日本食は勉強中だからよく分からないんだけど』
「別に、食べれなくはない」
『そっか』
にこ、と笑いかけると、少年はそっぽを向いてしまう。
それに反応するかのように、イライラし始める葵さん。
どちらも、困ったものだ。
『あのさ、名前。
教えてもらってもいい?』
「……」
『これから一緒に住むんだから。
ずっと「君」って呼んじゃったら、他人行儀みたいでしょ?』
「……他人でしょ」
「お前な」
『葵さん』
ちら、と葵さんの方を向く。
『大丈夫』という意味を込めてウィンクすれば、何か言いたげな顔をして口籠る。
『他人だよ』
俺ははっきり言った。
『確かに君の言う通り、俺らは他人。
君にも辛いことはいっぱいあっただろうし、それは葵さんから聞いたから分かる。
俺たちを受け入れられないのも分かる。
だけど、俺は君と家族になりたいんだよ。
今すぐじゃ無くてもいいから。
だから、今は名前だけでも教えてほしいんだ』
『ね?』と首を傾げる。
少年は俯き、暫く時間を置いてから。
「……樹」
そう、小さな声で。
俺は大きくうなずいて言った。
『うん。
宜しくね、樹くん』
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空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時:2018年9月24日 15時