検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:197,057 hit

第十三話 ページ14

夕食の時間の後。

いつもは俺の向かいに座っている筈の葵さんが、今日は俺の隣を陣取っている。

代わりに前に座った少年を顰めっ面で睨みながら、どこか偉そうに足まで組んで。

全くもっておとなげない、というものだ。

テーブルの下では、何が不安なのか俺の手の上に自分の手を重ねてくるから、そのギャップに笑いそうになってしまった。


『ご飯、口にあったかな。

俺、日本食は勉強中だからよく分からないんだけど』

「別に、食べれなくはない」

『そっか』


にこ、と笑いかけると、少年はそっぽを向いてしまう。

それに反応するかのように、イライラし始める葵さん。

どちらも、困ったものだ。


『あのさ、名前。

教えてもらってもいい?』

「……」

『これから一緒に住むんだから。

ずっと「君」って呼んじゃったら、他人行儀みたいでしょ?』

「……他人でしょ」

「お前な」

『葵さん』


ちら、と葵さんの方を向く。

『大丈夫』という意味を込めてウィンクすれば、何か言いたげな顔をして口籠る。


『他人だよ』


俺ははっきり言った。


『確かに君の言う通り、俺らは他人。

君にも辛いことはいっぱいあっただろうし、それは葵さんから聞いたから分かる。

俺たちを受け入れられないのも分かる。

だけど、俺は君と家族になりたいんだよ。

今すぐじゃ無くてもいいから。

だから、今は名前だけでも教えてほしいんだ』


『ね?』と首を傾げる。

少年は俯き、暫く時間を置いてから。


「……樹」


そう、小さな声で。

俺は大きくうなずいて言った。


『うん。

宜しくね、樹くん』

第十四章→←第十二話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (165 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
409人がお気に入り
設定タグ:男主 , BL , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/  
作成日時:2018年9月24日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。