第十六話 ページ21
ぱちり、目を開く。
見慣れぬ天井が視界入って、重たい身体をゆっくりと起こした。
スプリングがぎしりと軋む。
昨夜、「元々ベッドで寝ていたならこっちのほうがいいだろ」とシングルベッドを譲ってもらい、ここで眠らせて貰ったのである。
ライトの近くに置いていたスマホを確認すれば、オーナーからのメールが届いていた。
ほんの数十時間しか経っていないのに、イタリア語だけのメールはとても懐かしく思えた。
大まかな内容は「荷物は国際便で送った」ということと、「兄貴には気をつけろよ」という話。
「
その文面を何度も読み返して、思わずにやけてしまう。
オーナーが自分のことを気にかけてくれるのは嬉しい。
久々にあの淡い恋情を思い出しては、スマホを片手に口元を抑えた。
『Sono sicuro di venirvi a prendere……』
「随分と臭いセリフを吐くんだな、あいつは」
『ひやあっ！？』
びくん、と背中が跳ねた。
油断したその隙にスマホを手の中から抜き取られる。
端末を盗み取った男は、イタリア語をブツブツと呟いては、人の悪い笑みを浮かべていた。
「迎えに来るって何言ってんだ、
『ちょっと、葵さんっ！』
「どうせお前もこの文読んでにやにやしてたんだろ、気持ち悪い」
『い、いいじゃ無いですかっ』
『返してくださいっ』と手を伸ばせば、ひょい、と高いところに動かされてしまう。
男はにんまりと、余裕綽々な例の笑みを称えた。
「あいつが迎えに着たところで、俺が簡単にお前を引き渡すわけがないだろ」
そこまで言って葵さんは二三度スマホを操作すると、俺にスマホを返却した。
何をしたのだろう、と画面を見れば「一件のメールが消去されました」の文字。
『葵さん！？』
「荷物、届くって書いてあったじゃないか。
良かったな」
『そういうことじゃ無くてですねっ』
いらいらと地団駄を踏む俺とは正反対に、葵さんは快活に笑う。
その表情からは、昨日の張り詰めたような雰囲気はどこにもない。
『……復活、か』
オーナーからのメールが消えたのは残念だけれど、彼が元に戻ったならそれも悪くないか、なんて。
そんなことを考えながら、小さく息を吐いた。
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ぱあだよ - ア"ぁ"ずぎいいいいい！！！！！！ (2020年8月12日 22時) (
レス) id: c34795aa39 (このIDを非表示/違反報告)
空弥@ロザリオ(プロフ) - BLACKMOONさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます！いえいえ、妄想を詰め込んだだけですよ〜w (2018年12月8日 10時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
BLACKMOON - 物凄く面白かったです。私も最近文をあげ始めたのですが、まだまだだな〜と思いました！ (2018年12月4日 20時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - soraくんさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます！BL好きじゃない方に面白いと言ってもらえたのはめちゃくちゃ嬉しいです…… (2018年10月9日 0時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
soraくん(プロフ) - すごく素敵です。私はBLが好きではないんですけどこれは面白いです！！漫画化して欲しい…… (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0ca2962a8b (このIDを非表示/違反報告)
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