検索窓
今日:1 hit、昨日:57 hit、合計:372,267 hit

第三話 ページ3

「ここが賭博場だ」

「……随分とギラギラした所なんだな」

「兄貴の住む世界とは違うんだから当然だろ」


男は辺りを見渡して、それから眉間に皺を寄せた。

「目がおかしくなりそうだ」と言いながら、ゆっくりと歩き出す。


「兄貴もやってみたらどうだ?

ここに居るディーラーたちは皆経験豊富だ。

ここに視察目的で来たのなら、その力量も見定めて貰いたい」

「だが花札や双六とは仕様が違うだろう」

「やり方ぐらいはこっちで教えるさ。

カジノが初めてだったら、ポーカーから始めればいい」


「A」と名前を呼ばれ、俺は一度頷いてから準備を始めた。

トランプを出しながらルールの説明をし、その場に置く。

チップを台の上に出した時、「それは何だ?」と男に声を掛けられた。


『あ、チップです。

掛け金と同じ役割のもので……。

勝利すれば掛けた分、お金を貰えます』

「ほう」


男は頷き、それから考えるような仕草をした。


「ルールもチップの要領も分かっただろ、兄貴。

じゃあ、兄貴とするディーラーは……」

「待て」


男がオーナーを制した。


「俺は、こいつとやる」


す、と男が指さしたのは紛れもない、俺で。

「え」と声が小さく漏れる。


「あ、兄貴?」

「別に誰を選ぼうたっていいだろう?

だって全員腕の立つディーラーだもんな?」


挑発的にオーナーの顔を覗き込む男。

オーナーが犬歯を食い縛る、その姿が心苦しくて。


『いい、ですよ』

「A!

……無理、しなくていいんだぞ」


驚いた顔をするオーナーに、俺は笑った。


『大丈夫です。

俺、勝ちますから』



トランプを自分と相手に五枚ずつ配る。


「いくら賭けますか?」


そう尋ねたとき、男は胸元から一枚の紙を出した。

よく見ると、それは薄い緑色をした小切手で。


「好きな金額を書くといい」

『えっ、い、一度のポーカーでそんな』

「俺にはこっちの金のことは分からん。

だからいっそのこと書いてもらったほうが効率がいい。

……その代わり」


ごくり、唾を飲み込んだ。




「俺が勝ったらお前を娶るからな」

第四話→←第二話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (219 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
419人がお気に入り
設定タグ:男主 , BL , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぱあだよ - ア"ぁ"ずぎいいいいい!!!!!! (2020年8月12日 22時) (レス) id: c34795aa39 (このIDを非表示/違反報告)
空弥@ロザリオ(プロフ) - BLACKMOONさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます!いえいえ、妄想を詰め込んだだけですよ〜w (2018年12月8日 10時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
BLACKMOON - 物凄く面白かったです。私も最近文をあげ始めたのですが、まだまだだな〜と思いました! (2018年12月4日 20時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - soraくんさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます!BL好きじゃない方に面白いと言ってもらえたのはめちゃくちゃ嬉しいです…… (2018年10月9日 0時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
soraくん(プロフ) - すごく素敵です。私はBLが好きではないんですけどこれは面白いです!!漫画化して欲しい…… (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0ca2962a8b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年9月11日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。