リアリストの葛藤【２】 (ページ14)

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64 お節介焼きページ14

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あれから長谷川さんのクランプの他にもそれぞれのグループをまわって、一通り見学を終えた頃スタジオ入口のドアが開いた。

どうやら打合せが終わった様で、社長や広告代理店の方々が揃っていた。

先刻私にしてもらった様にメンバーの挨拶が行われている。

社長「どう？イメージ湧いた？」

「そりゃあもう。来てよかったです」

社長「こっちも引っ張り出した甲斐があるわ」

「えへへ、ありがとうございます」

あんだけ嫌がってたくせに現金なやつめという意図をひしひしと感じる。

だって目の前で見るダンスがこんなに良いものって知らなかったから…

そろそろ撤退か、と資料とクロッキー帳を纏めていると横から声がかかる。

陣「あの、すみません」

「はい？」

陣「もう暫く居れたりしますか？」

「えっと…」

私は構わないが、どうだろう。

社長に目線を向けるとどうぞ？と言わんばかりに頷く彼女。

仕事の進捗を聞かれるも、特に急ぎのものは無いので問題ない事を伝える。

社長「今日そのまま帰っていいから時間許す限り見学させて貰いなさいな」

陣「良かった！今居ないメンバーがもう少しで来られそうなんですよ」

「はい。えっと…じゃあ宜しくお願いします」

社長「じゃあ私は帰るわね。お疲れ様」

「お疲れ様です」

出口で社長を見送り、スタジオに戻る。

　
陣「多分もうちょいで海青来ると思うんで」

「え」

その言葉に驚き振り返ると、にこにこ、というよりにやにやした彼と目が合った。

このお節介焼きお兄さん楽しんでるなぁ…

陣「壱馬の方かと思いました？」

「あ、はい。武知さんのはさっき動き確認してたんでてっきり」

陣「残念ながら今日壱馬は来られないんですよ」

「…あの、敬語じゃ無くていいですよ。私年下ですし、多分話したい事って仕事の話じゃないですよね」

陣「察しがええな」

「リーダーさん表情豊かなので分かります」

そんなに？と顔をむにむにするリーダーさん。あざといな。

そんな彼を横目に一応仕事中だし、とスケッチを続けていると鳴り出す着信音。

覚えのない音の根元はリーダーさんのスマホだった。

陣「あ、海青や。ほい。」

「えっ、え？ちょ…」

陣「ほれ早よ出たって」

「あ、え、え？？」

自然な流れで渡されて思わず受け取ってしまった。

そんな急に渡されても困りますが！

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