Diabla姫と悪魔執事 :2章【u/s/s/s】

マニアな愛 ＊9 ページ27

肩に担がれる形で坂田さんの部屋を後にした私は
現在もうらたさんの肩の上で絶賛抵抗中だった。


「あの！どこに行かれるんです？」




「私、自分で歩けるから！降ろしてください！」




うらたさんはまるで私の声が聞こえないかの様に廊下をずんずんと進んでいる。

何を言っても無視されているが流石にこの荷物扱いの状況を良しと出来るほど私も人間は出来ていない。

私はもう一度、先ほどより語気を強めにうらたさんに届く様名前を呼ぶ。


「うらたさん！！！」


「るっせー口だな」


言葉が届いたかと思えば地を這う様に低い声に全身がゾクリと震える。


後ろ向きに担がれている私にはうらたさんが今どんな表情をしているのかが分からない。
しかし、聞こえてくる声の様子から怒っていることは明白であった。



「仕方ねぇなぁ、他ならぬお姫様のご要望だ。降ろしてやるよ!!!」



突然背中に生じた衝撃に悲鳴にならない悲鳴が口から漏れる。



「っい”ッッッ！！！」



私は肩から降ろされたと同時に廊下の壁に勢いよく押し付けられた。

うらたさんは慣れた手つきで私の両手首を自身の手で拘束し、頭の上に。
そのまま私を腕の力だけで軽々と持ち上げると私は重力を失い、宙ぶらりんになる。
不安定な体勢に体を捩ると、それを制するかの様に私の両足の間に片足を潜り込ませ膝を立てた。
膝の上に私を乗せ、壁に両肘をつき、そのまま私を押さえ付け一気に距離を詰める。

世間一般、俗に言う”壁ドン”と”股ドン”というやつを私は一度に受けていた。


好きな異性同士で雰囲気が良ければきっと嬉しいシチュエーションなのだろう…

しかし、私を壁ドンしている目の前の異性(うらたさん)は
無に近い表情で怒りを露わにし私を至近距離で見つめている。押し付け方も乱暴で背中も掴まれている手首もジンジンと痛い。

とても恋人にする行為とは言えなかった。


困惑に塗れた私の顔がうらたさんのエメラルドの瞳に映る。

うらたさんはニヤリと笑うと


そのまま私に触れるだけのキスを交わす。



“あっま…”小さく呟いたうらたさんが



何度も何度も啄む様にキスを繰り返し




ついに私の口内を犯し始めた。



初めての感覚に身も心もグチャグチャに溶けそうになる。


一向に止まない快感に追いつけないまま
息継ぎが出来ず酸欠で頭がぼーっとする…

苦しさに溢れた一雫の涙が頬を伝い


私はそのまま意識を手放した。

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