アガペーな愛 *16 ページ17
—side:坂田—
しばらく2人で抱きしめ合って、笑った。
ふいにAが小さくくしゃみをして、抱き合っている場所が床の上だという事に気付く。
季節が季節だからか床はひんやりと冷たい
気絶した体に無理強いをして風邪をひかせないよう、Aを横抱きにしてベッドに寝かせる。
俺も布団の上で横になって、2人で他愛の無い話をたくさんした。
「んでな、その時のセンラのリアクションがおもろ過ぎて、俺もまーしぃもうらさんも腹捩れるんちゃうかってぐらい大爆笑でな」
「ふふ、坂田さんって3人の事大好きなんですね」
「ん、大好き。俺にとっては家族みたいな存在やね」
“恥ずかしいから皆には内緒やで”と口元に人差し指を立てて内緒のジェスチャーをすると、Aも笑いながら同じポーズをとる。
“2人だけで秘密を共有してる”
それだけのことが幸せで、何にも変えられない優越感が押し寄せてくる。
幸せに目を閉じると、どっと体の疲れを感じた。
本来悪魔は身体的な疲労なんて余程のことがない限り感じないはずなのだが、魔族の体は一定量以上の魔力を消費すると体力も消耗してしまう仕様になっているらしい。
俺の魔力は感情によって強弱がつくし、それが怒りや悲しみと言った大きな感情であればあるほど消耗は激しくなる。
ここまで大きく感情を揺さぶられたのも何年ぶりか、
“誘惑”を他の対象に使うことは仕事上ある事だ。
それでもきちんと魔力のコントロール、もとい感情のコントロールは出来ていたのに…
そこまで考えて思考が遠のく
「さ…たさん…?」
Aの声が遠くに聞こえる
閉じたくもない目が眠気に抗えずに閉じていく
(あぁ…もっとAと話してたいのに…)
「ふふっ…おやすみなさい…坂田さん」
—
「うぅ……?A…?」
いつの間にか眠ってしまったようだ。
目を開けた先に、もうAの姿はなかった。
しかし、シーツに残る人肌の温度が
そこに彼女が確かに存在していたことを表している。
きっと今頃夢から覚めて現実を過ごしているのだろう。
ねぇ、A。
俺の愛は
君が笑ってくれるなら
俺を愛してくれるなら
大切な人も、物も、場所も、
全てを捨てる事だって出来る
俺自身すら犠牲にしても厭わないこの愛を、
いつか君は笑って受け止めてくれるかな…?
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悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - 結月。さん» 暖かいコメントをありがとうございます。1章出たての頃から見てくださっているとのことですごく嬉しいです😭途中間が空いてしまったりもしましたがきちんと完結させるつもりなのでどうか3章も引き続き見てくださったら幸いです🙇♀️ (2023年2月7日 10時) (レス) @page46 id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - コメント失礼致します。2章完結おめでとうございます!!作品ができた当初からいつも更新を楽しみにしておりました。物語の展開もすごく面白くて、大好きな作品です。これからもとても楽しみです。陰ながら応援しております…!! (2023年2月7日 4時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - にやあ確定さん» 当作品初めてのコメントで、作者はとても感激しております!!!更新頻度の事、内容、楽曲の解釈共に褒めていただけてとても嬉しいです…!🥹決して短くない私の小説を読んでくださりありがとうございます。ぜひこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2022年12月14日 8時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
にやあ確定 - コメント失礼いたします◎更新頻度が高い上に物語の内容にとても惹かれました...😽何より作者様の楽曲への解釈がとても素敵です‼✨素敵すぎる悪魔執事を書いてくださり有り難うございます😈✨ (2022年12月12日 22時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2022年11月24日 11時