君想う夢・君恋し花

愛を売る人 … １５ ページ16

「あ…、えと…」

見つめてくる視線に胸がいっぱいになる
キレイな笑顔と優しい眼差しに魅入られたように目が離せなかった

そして一番の不思議は、あの言葉では言い表せない感覚…初めて会った人なのに心が共鳴するというか、一つに繋がってる様な…過去にも未来にもいけないはずの自分の《原点》をその人に見たような気がした


茶髪はゴシゴシ親指でオレの唇を擦った後、ガン見するオレに違和感を感じたのか、ちょっと首を傾げた後、何かに気付いた様に目をパッと見開いた

「ふふん、…オレキス上手いだろ、感じた？」ってすげぇドヤ顔で言ってきた

「な…っ！？なワケ…っ！、」
ある意味図星かもと焦りまくって、茶髪から離れようと身じろいだけど、茶髪は逆にオレの手首を掴んでグイッと引き寄せた

「…っ、マジこの香り、唆る…なんで？…」

首筋に顔を近づけられ、クン…と鼻を鳴らすのが分かる…、こんな行為はもう慣れっこだ、なのにこの人にそうされる度、自分の中の熱い塊が滾るように、体温を上げさせて行った

ヤバい…、カラダ…火照る…

「も、や…っ、」必死で顔を背け、首筋にかかる息遣いから逃れようとした時…

「ミツッ！？こんなトコにいたの？探したんだよ！！」
焦った声と同時に、別の手に引っ張られた

「アンタ何モン？気安くミツに触んなよっ」
「ニカっ？」

オレを背中に隠し、ニカが茶髪を真っ向から睨みつけていた

「は？貞操の危機を救ってやったのにそういうこと言う？」
「貞操の危機？なに？どゆこと？」
「あのな、大事ならそんな危ねぇ匂いさせてウロつかせんな！テメェのモンならちゃんと最後まで守れよ！タコ！」

この悪態に、ニカは胡散臭そうに茶髪を上から下まで見返した

「ミツ…この人なんなの？」

その問いかけにオレはどう答えるべきなんだろう、「この人は…」と言いかけた時、

「通りすがりの単なるイケメンでーす！じゃーな！」って間延びした声がして、茶髪はオレ達に背中を向けて、スタスタと通りを歩いていった

「変なヤツ…行こ？ホントに探したんだよ？迷子になった？」
「迷子って…んな歳と違うし！」
「ミツ、子どもみたいなトコあるからなぁ」
「アホ、もう23だわ！！」
「だよねぇー、でも櫻花楼の花魁は初見世から一つも変わらないって専らの評判だよ！、永遠の16歳？」

「ｸｽ…なんだよソレ…」


そんなワケ無い…、このカラダも人生も、数え切れないほどのオトコの手で汚されてる…

オレは…穢れたΩだ…

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