《藤＋北》が、くっついた！？ ２ … ベトベト編

ベトベトな二人 … ３１ END ページ31

１４年…、

それは、オレと藤ヶ谷が同じ景色を見てきた時間…

同じ方向を向いて、未来に想いを馳せていた日々だった


先の見えない下積み時代、


後輩に先を越され、目の前に並ばれた時のあの悔しさと虚しさ…

大舞台の一列目に立つことの難しさを、身を持って感じた…

夢見るだけじゃダメなんだと、これ以上無いほど思い知らされた

半ば諦めかけてた弟達を鼓舞し、叱咤しながら、オレはなりふり構わずガムシャラに走り続けてきた、それが出来たのは今隣にいる藤ヶ谷の存在が大きいと思う…


何かあっても、勝負を掛ける時には必ず藤ヶ谷がいる…
それが、オレの切り札だった


オレ達は、普段何かをし合う関係じゃない
話すこともあまり無いし、横尾さんといることが藤ヶ谷の通常運転だ

似てるとすれば、お互いに自分の世界を充実させることに重きを置いてる、それがいい方に作用してるんだと思う


何かあれば、パズルのピースを嵌めるようにピタリと隙間を埋めてくれる、それが《シンメ》という存在なんだと思う


「オレと北山が、今この瞬間一緒に生きてる…、それを見せつけてやればいい、誰とも比べられないオレらの《REAL ME》、コンセプトはそれ一択だろ」

クイッと口角上げて、まるで挑発するかのように笑ってみせる藤ヶ谷…

こんな顔見せられたら、やるしかねぇだろ


「北山、塗りたくるのは腕だけど、オレの胸の奥ベトベトにする気で来いよ、オレもそうする…ぜってー負けねえから！」

「わあってるよ！抱き潰してやるから覚悟しとけ！」

「ハン！返り討ちだし！」


互いのスイッチを入れ合い、この《ハマる》感覚を共有する


ありのままの自分を曝け出し、限界まで見せ合う


藤ヶ谷じゃなきゃ成立しない、オレの《REAL ME》


出逢えて良かったと、心の底から思わせてくれるヤツが、目の前にいる


視線を感じたのか、藤ヶ谷がオレに顔を向けた


「なに？」
「いや、…来年のライブは、どんな風になるんだろって…」

そう言うと、藤ヶ谷は視線を正面に向け口を開いた

「そだな、…きっと進化してるよ、７人全員…もちろん《藤北》もな！じゃなきゃベトベトになった意味が無い！」

「だよな！」


そして、顔を見合わせ笑い合う…
オレの好きな笑顔が、ここにある…






今はまだ遠く果てしない夢も、きっとこの手に掴み取るコトが出来るとオレは確信していた




なぜならその夢は、





７色の道の最終地点にあることを知っているから…────






ー了ー

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