LOVE CASTE … 恋哀階級 vol.２

CASTE … ９５ ページ49

｢別にいいよ、オレも雑誌とか載せられたら上司に何やかや言われるしな、でもさあんなのホントにあるんだな、ビックリだわ！｣

太輔の様子が気になりつつ、オレは何でもないことの様に笑い飛ばした

駅前広場にはベンチがおいてある
｢座ろうぜ｣と太輔を促した

幾分落ち着いたのか、オレの話にちょこっと笑って反応してくれる

｢そだね、街角取材とかオレも初めてだよ、ヒロといると《初めて》多いな｣
｢お前が外に出なさすぎなんじゃねぇの？｣
｢んーそうかも、オレ人見知り激しいから初めての場所とか結構緊張するんだよね｣
｢へえ…にしちゃ大胆に薬飲ませてきたけど｣

いきなり口移しとか…？コイツ大胆なのか天然なのかわかんないｗ

｢アレはだってヒロすごい熱出てたのに全然いうこと聞かないから…｣
｢そりゃ初対面のヤツから渡されたモンなんか《はいそうですか》って飲めねぇだろ｣
｢だよね、今はそう思う…｣

真面目な顔して頷く太輔に、オレは爆笑しかない

｢え、今笑うトコ？｣
｢…ｸｽｸｽ、お前さぁマジで天然だよな、ﾌﾌ…飽きねぇわ……あーおもしれ、さてコレからどうする？もう帰るか？｣

立ち上がりかけるオレの手を、太輔がそっと掴んだ

｢もう少し…《でぇと》しない？｣

出てきた時間も遅めだったから、ボチボチ日暮れになりかけていた

｢…いいよ、オレ明日休み取ったんだ、晩メシも食って帰るか？《初でぇと》記念？｣
｢え、いいの！？｣
｢…そんなあからさま嬉しそうな顔すんなって…いいよ、オレの知り合がいやってる店連れてってやる、酒も飯もスペサルに美味いトコ！期待しとけ！｣
｢うん、…わ、めっちゃ嬉しい！｣

そしてまた、この笑顔はオレをきゅんとさせ、心鷲掴みにしていくんだ…


トモと過ごした時間には、罪悪感と背徳感しか
存在しなかった…抱かれても抱かれても…愛しさを凌駕する虚しさしか無かった…

会うのはいつも平日の数時間…
貪る様にカラダ繋げて、いつも心は置いてけぼり…

それが裏切りの《罪》に対しての正当な《罰》だと諦めていた

オレに与えられた《LOVE CASTE》は、遠いその人を最下層から恋焦がれることは出来ても、自分から傍に行く事は出来ない…

支配者の気まぐれな《愛》に、オレは縋るしかなかった


けど、太輔は違う…

どれほど好きになっても、罪を作ることは無い

同じだけ気持ちを返してくれるコトが、こんなにも幸せだなんて知らなかった…


｢好きだよ…｣

その言葉に、また一つ幸せが訪れた…

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