LOVE CASTE … 恋哀階級 vol.２

CASTE … ６７ ページ21

｢おはようございまーす！｣

営業部のフロアに入ると、オレの顔を見るなり櫻井部長が手招きしてきた、その表情を見る限り悪いコトではないらしい…

何だろ…

｢部長、おはようございます！｣

部長席に行って挨拶すると、ニンマリした顔でオレを見てきた

｢おお、おはよ！、北山、お前今日の午前中ってなんかアポ入ってんのか？｣

ん？、部長ってば朝からやけにテンション高ぇな、わっつはぷん？

｢いえ、特には…午後は梶山と一緒に得意先周りです｣
｢あー梶山な、どうだ、アイツ使えそうか？｣
｢悪くないと思います、一年目ですけど取引先からは真面目な好青年って評判はいいですよ｣
｢そかそか、まあお前が面倒見てんなら大丈夫だろ、第２の玉森くらいまでに育ててやってくれ…ならオマエ、今日の午前中は相澤総合病院だ、支度でき次第出ろ、用意しとけよ｣

｢相澤…ですか？｣

朝イチから相澤総合病院の訪問か…
重苦しい気分を見せるわけにもいかず、オレは
表情筋を駆使して務めて平静を装った

｢おお、木村常務に連絡があってな、新薬の臨床投与に適した患者が決まったから来て欲しいとの依頼だ、やっと動き出したわ、あー良かった｣

櫻井部長は、心底ホッとしたような表情を見せ親指を立てた、どうにか上層部…特に木村常務に面目を保てたことが何より嬉しそうだった

｢…そうですか、良かった…ですね…｣
｢おん、向こうはお前一人でもいいっていう事だったんだけど、今回はオレも同行するわ｣
｢ホントですか？わ、めちゃめちゃ助かります｣

櫻井部長が同行ということで、オレの心配は一先ず払拭される…一人なら、またこの前の様になりかねない、でも上司が同席ならトモも妙なコトは仕掛けてこないだろう

｢そうか？やーやっぱりオレがいないとダメってコトかぁ｣
｢勿論ですよ、櫻井部長あっての契約なんですから！｣
｢北山、オレ煽てても何も出ねぇぞｗｗｗ｣

ご満悦の櫻井部長、とりあえずトモと二人きりにならなければそれでいい…打ち合わせは櫻井部長が仕切りに任せればいい…

｢９時半には出た方がいいな、公用車の予約頼むな！｣
｢はい、オレから総務に連絡しときます！｣
｢頼むわ、今日の打ち合わせは相澤院長も同席されるから話も早いかもな｣
｢何よりですね！｣

午後からは、オレにも予定がある…

例え呼び止められても、断る理由はいくらでもあった


《とりあえず二人きりにならなければ、それでいい…》


この時は、そう思っていた…

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