LOVE CASTE … 恋哀階級

CASTE … ４６ ページ48

我知らず、そんな言葉が出ていた

｢北山さん…？｣

太輔が、ちょこっと目を丸くしてオレを見ていた、その表情にオレは自分が伝えた言葉の意味を脳内再生した

今日名前を知ったばかりのヤツに、どうしてオレ…こんなコト言ってんだ？これじゃ、また会いたいって言ってるようなもんじゃん！！

その考えに行き着いた途端、ボンッとまた顔が熱くなった

｢…って、イヤその…かなり迷惑かけたし、看病させたから…そのお礼っていうか…えと…｣

しどろもどろのオレ…年下相手に何でこんなにキョドる必要があんだよぉぉぉ！どうしたオレ？

もう右往左往のプチパニックだけど、ソレは太輔の小さな笑い声で一旦収まった

｢そんな風に言ってくれてホントに嬉しいです…でも自分のコトは自分で何とかします、オレのコトちょこっとでも信用してくれて、ありがとうございます｣

ペコっと頭を下げて、太輔は玄関に向かった
このまま…行っちまうんだ…

｢太輔、ケータイ…｣

言いかけたオレに振り向くと、すまなそうな表情を浮かべた

｢…持ってないんです、あると厄介だから…、あの、会いたくなったら…また来てもいいですか？｣

最後の一言に、一気に心が沸き立つのを覚えた

｢…うん…｣

そう答えると、太輔はパアッと顔を綻ばせた、無邪気という言葉がピッタリの…とても印象的な笑顔だった

｢良かった…カラダ、大事にしてくださいね｣
｢うん…色々サンキュ…｣
｢どういたしまして、あ、そだ…スープちゃんと完食して下さいね！、じゃ…｣

そして、今度こそホントに太輔は出ていった
カチャン…とドアチェーンをかけ、リビングに戻る…

また…一人ぼっち…
静寂と虚無感は隣り合わせだ

部屋には、太輔が作ってくれた野菜スープのいい香りが漂う…そして香りの向こうに太輔の穏やかな話し声と笑顔…

ああ、今わかった…
オレ、あの笑顔が好きなんだ…

《また会いに来ても…》

具体的な日も時間も無い不安定な約束…なのに、その日を待ってる自分がいた

それくらいの楽しみ…いいよな…


週明けからは、相澤総合病院へ出向く機会が増える、それは今までのようにプライベートな時間だけでなく、公然とトモと会うことが多くなるというコトを意味していた

偶然にせよ、桜来さんと会うこともあるかもしれない

トモの子を身ごもった桜来さん…妻である自分を欺き、蔑ろにするオレとトモの関係を、あの人は知らない





その時、オレは…





…ナニヲ想ウノ…───？

CASTE … ４７→←CASTE … ４５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す