LOVE CASTE … 恋哀階級

CASTE … １３ ページ14

週明け…台風が近づいてるコトで、空は鈍い色をしていた

桜来さんの声を聞いたことで、オレの中に罪悪感が増してくる

トモはどうあれ、桜来さんがトモを愛しているのは紛れもない事実だ…結婚式の時しか会ってないけど、小柄なとても可愛らしい人だった

一人娘さんらしい、両親からの愛情をたっぷり注がれて育てられた人特有の愛らしさを持っていた

夫婦仲は良いらしい…

トモのケータイの待受は、桜来さんとのツーショットが多い、二人で出掛けたら必ずツーショットを取りたがるらしくて、トモはそれを閉口してた

｢桜来が勝手に変えてんだよ、オレはしない…｣
｢桜来さん…トモのケータイ触ってんだ｣
｢別に疾しいもん入れてないし、見たきゃ見ればって感じ、好きにさせてる…今更めんどくさいし…｣

めんどくさい…

そんな風に言われる桜来さんを、オレは可哀想に思う時がある…彼女は彼女なりにトモとの生活を大切にしてる

何となく話しの中で、彼女の方からトモと交際したいと父親に相談があったみたいだった
何かのパーティで、いわゆる一目惚れして父親に色々トモのコトを聞いたらしい
桜来さんのトモへの想いを聞いた相澤教授が、ドクターとしても優秀なトモに後継者としての白羽の矢を立てたのも当然といえば当然だった


｢…幸せにして上げたらいいじゃん…｣
｢…ま、桜来の望み通り結婚したんだから充分幸せなんじゃない？｣
｢そんな言い方って…｣
｢ちゃんとアイツの望む旦那を演じてるよ、優しくて思いやりがあって仕事が出来る…心配すんな、ちゃんと夫婦してるよ…、ソレも義務だからな…｣

それが何を意味するのかは、わかる…

今、オレがされてるコト…それをトモは桜来さんにもしてるんだ…

｢でも、全然楽しくない…繋がってもなんも感じないんだ…宏光だけだ、こんなヤバいくらいココが熱くなれんの…分かるだろ｣
｢…ッ、ハァ…っん…！｣

｢最後…ナカに残したいって思うのも、お前だけ…桜来との時は、アレが必須アイテム…｣
｢トモ…っ｣
｢宏光、ずっとオレだけ見て…誰にも心渡さないで…大事にするから…｣

貫かれる痛みも受け入れる苦しさも…全てがトモに向かって流れ落ちる証…


けど、オレはどこかで…こんな関係を断ち切る術を探していた

断ち切らなきゃ、前に進めないから…


誰かを不幸にして手に入れた幸せなんか、何の意味も価値もない…


誰か…

オレをこの深い闇から連れ出してくれ…



そうじゃなきゃ、オレはきっと壊れてしまう…

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