One Kiss！！…２

チャラくNIGHT？…５４ ページ6

｢あー面白かった！、みっくん、次アレ乗ろうよ｣
｢おま元気だなぁ｣
｢だって楽しいもんっ！それに時間もったいないし！｣

薫乃は始終ゴキゲンで、オレの知ってる子供の頃と同じ笑顔で園内を動き回っていた…

時間がもったいない…

ホントにそんな感じだった、歩いてる時ですら、しきりに小等部の話を振り返り、その後の薫乃がいなかった学園での時間を埋めるように色んなことを聞いてくる


目を輝かせてオレの話を聞いてくる薫乃につられて、オレも覚えてることを話して聞かせた

｢そんなことあったんだ、みんなイイなぁ、楽しそう｣
｢薫乃も日本にいられたらよかったのにな｣
｢…うん、ホントにそう思う…｣

はしゃぎすぎて疲れたのか、薫乃はベンチに座るとホッと小さく息を吐いた

｢疲れたか？まあ、あんだけ動きゃそうなるわな、飲みモン買ってくるわ、何がいい？｣
｢みっくんと同じでいい｣
｢あのな、ちゃんと自分の飲みたいもん言えよ、薫乃ガキの時から相手に合わせてばっかのトコ、全然変わってねぇな｣
｢ｸｽｸｽ…みっくんも変わってないね、日本語ちゃんと話せない私にいつもそう言ってた、《上手に伝えようとか考えなくていいから、思っててることそのまま言えよ、オレちゃんと聞いてるから》って言って、私が話し終わるまでずっと待っててくれたよね｣

｢へ、オレそんなコト言ってたっけ？｣

｢うん、私が言葉に詰まると、《薫乃はこういう事が言いたいのか？》って一生懸命私が理解できるまで話してくれて、スゴく嬉しかった…みっくんがいたから、私クラスの子と話すのが怖くなくなったんだよ｣

｢オレはなんもしてねぇよ、薫乃がクラスのヤツらと友達になりたいって思って苦手な日本語頑張ったからだろ｣

クラスに置いてある絵本を休み時間に読みふけっていた薫乃、周りに馴染めないから読んでんのかと思ってたらそうじゃなくて、絵本を読むことで知ってる言葉の数を増やそうとしていたらしかった

｢みんな笑ってるのに、私は笑えないの…｣

そう言ってポロポロ泣いてた薫乃を思い出した


｢薫乃は、いつだって頑張ってたよ…｣

ポン…と頭に手を置くと、薫乃は半分泣いてるような笑顔を浮かべ、下を向いた


｢みっくん…｣

｢ん？｣


薫乃は、俯いていた顔を上げると零れそうな雫を隠すようにフワリと笑った、


｢私ね、ずっと…ずっとみっくんのコト好きだった…いつかみっくんのお嫁さんになれたらなって…夢見てた…｣


｢薫乃…｣

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