One Kiss！！

チャラくNIGHT？…４８ ページ49

北山さんへのモヤモヤを抱えたまま、数日が過ぎた

本格的な梅雨入りも間もなくだろうと言う小雨の日、部屋で心海に雑務を手伝わせていた時、｢太輔、入ってもいいか？｣と声がした

｢住職、どうぞ宜しいですよ｣と障子の向こうに返事を返す

｢忙しいところすまんな｣
｢いえ、構いません、なんでしょうか｣

心海が気を利かせて出ていこうとしたけど、住職はそのまま続ければいいと言った、つまりは緊急の用件では無さそうだ

心海が用意した座布団に座り住職が話し出したのは、意外な用件だった

｢北山さんに、一日休暇を取らせようと思うんだが構わないか？｣

｢休暇…ですか？それは勿論宜しいと思いますよ、彼は僧侶では無いですし、あの人は寺には行儀見習いとしているので構わないと思います｣
｢そうか、お前の許可が下りたなら北山さんも休みを取りやすいだろう、了解した｣
｢はい、ゆっくり羽を伸ばせばよろしいですとお伝えください｣

｢うんうん、では西園寺のお嬢様にそうお伝えしよう｣

ん？今なんて？…あれ、聞き間違いか？

｢住職、もしや今…西園寺のお嬢様とおっしゃいましたか？｣
｢そうだが？｣

何を言ってる？という顔だけど、いやいやその名前聞いたの、今初めてですけど！？

｢…北山さんの休暇のコトですよね？｣
｢ああ、西園寺のお嬢様からこの前会った時にあまり話ができなかったから、北山さんを訪ねて寺に言ってもいいかと連絡があってな、ココだと落ち着いて積もる話も出来なかろうと思って休みを一日取らせようかと…｣

えええ、ちょっと待ってくださいッ！
話の展開がオカシクなってませんか？

｢住職、ソレは北山さんと西園寺のお嬢様に《でぇと》をさせるということですか？｣
｢《でぇと？》…はて？、…まあ男女が二人で外で会うことをそう言うなら…そうかな｣

｢ダメですッ！！｣

そんなの…ダメったらダメッ！
あたりまえ！

…なんだけど、この趣きのある和室に吹いてるホワイトエアーはなんだ？

｢…お前、さっきはいいと言わなかったか？｣
｢え？｣
｢ゆっくり羽を伸ばしてこいと言ったのは私の幻聴か？なあ心海？｣

｢は、はあ……｣

心海もこの成り行きにポカン顔で、住職と私の顔を見比べていて…

｢嫁入り前の良家のお嬢様といかにも肉食系なダンシを二人っきりで外出など仏にお仕えする者として言語道断！、許せるわけがありません、では、このお話は無かったコトに｣

うん、そうだろ…その理由しかない！


｢…解せぬ…｣

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