Memento

想い人 … ２６ ページ27

「…えっ！結永が恋？恋って、あの恋？？？」

オレが風呂入ってる間に、どうやら太輔が結永の様子を見に部屋に行ったらしくて、寝室に戻って来ると、ベッドの背もたれに背中を預け手招きしてきた、ん？と思って隣に行くと「いいか、オレが言ってたってナイショな？」と何やら嬉しそうな顔してオレにコショコショと耳打ちしてきた


「多分そうだと思う…、オレに《かーさんと会った時何か感じたか？》って聞いてきたし…」
「えーー…」

暫し呆然のオレ、…カラダは確かにおっきくなったけど、オレの中ではオヤツに目を輝かせてた頃と何ら変わりない、

太輔からの《公然の秘密》は、超がつくほどの驚きを連れてきた

「相手誰だろうな、茉莉花ちゃんかな？」
「あー…」
有り得るかも…

「いや、まさかの彬人くんか？」
「それは無いだろ」
うん、かーさんの名に賭けて絶対に違うと言いきれる！あの二人が親友の域を出ることは無い

だとしたら…？

「んじゃ、他の誰か？…あーでも結永、ずっと前から会いたかった人がいて、再会したって言ってたな、」
「再会？」
「うん、でも何だか行き違いがあって嫌われたかもって凹んでた、友達の話なんだけど…って前置きしてたけど、バレバレなのが結永らしいよなぁ、幼いというかウブいと言うか」

そうだろうな…、結永は一人っ子な事もあって、小さい時から大人の中で過ごすことが多かった、周囲の配慮もあり《‪α‬‪α‬‪α‬》の素質を遺憾無く発揮出来る環境を整えられた事で、オレ達自身、心配事という出来事とは無縁の生活を送ることが出来た、

そう言えば、反抗期とか…あったっけ？

もちろん多少の親子喧嘩はあったけど、そんなの、お互い次の日にはケロッと忘れて、いつもの日常がそこにあった

一言で言うなら、結永は《良い子》なのだ

その結永が恋…………


「直に17歳だもんなぁ…、結永もとうとう大人の階段を登る時が来たんだな、なぁひろ？」
「…そだな…」

楽しそうな太輔とは対称的、自分でも素っ気ないと思うほど、オレはその一言だけを発した

別に、結永の恋が嫌なんじゃない、大切に思える人が出来る事は、自分の心が強くなることに繋がる、オレも太輔もその事は経験済みだ

なら、この気持ちは、なんなんだろう

なんて言うか…さっきまですぐ隣にいた結永が、一瞬目を離した隙に、どっかに行ってしまった…突然迷子になった我が子を、どう探せばいいのかパニックになるあの感じ…


結永…恋をしたんだ……

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