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ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ
家に響いたチャイム音に、私は顔を上げる。
隣に座ってスマホを弄っていた渉も、視線をドアに向けていた。
「俺、出てくるわ」
『ありがとう』
玄関に向かった渉に、私はふっと廊下の飾り棚に目を向ける。開いたドアの隙間から漏れた太陽の光に照らされ、一つの小さい何かがキラリと光った。
『…？』
疑問に思い、飾り棚に足を向ける。
どうやら着払いだったらしい郵便物に、渉が宅配便の人にお金を渡していた。
その間に、私は飾り棚の前に辿り着き光っている何かを覗き込む。
『っ！』
思わず、息を飲んだ。
「…A？どうしたの？」
どうやら会話を終えたらしい渉が、訝しげな声色で私に近づいてくる。
私は慌てて“光る何か”を手に隠し、後ろの渉を振り返った。
『う、ううん！何でもないよ！』
「あ、そう」
どうやら興味を無くしたらしく、ダンボールに手を掛ける渉。私はポケットに“光る何か”をこっそり入れると、渉の背後からダンボールの中身を覗き込んだ。
『それなに？』
「次のライブのグッズの試作品。良ければまたAの意見も聞かせてくれね？参考になるから。」
『勿論！』
いつも通りの会話をしながら、私の心臓はドクドク音を立てていた。ポケットの中にばかり意識が集中してしまい、私は表情筋を動かし渉に笑いかける。
『わ、私トイレ行ってくるね』
「おう」
渉の声を背後に、私はトイレに入り鍵を閉める。そしてポケットの中に手を突っ込むと、その小さな物体を再びまじまじ見つめた。
『(…これ、)』
私の手の上の小さな物体は、
『(薄紫色の蝶々のイヤリング…)』
あぁ、私達がいくら日常に戻ろうとしても、昔のようには戻れない。平和な日常は、戻ってこない。
亀裂の入ってしまった私たちに、もう手を差し伸べる人は居なかった。
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ハクト(プロフ) - 奏斗さん» コメントありがとう！覚えてるよ、久しぶりだね！奏斗の作品こそ文の表現が綺麗で、とても勉強になります笑 毎日更新していく予定だから、良ければまた読みにきてね！(*^^*) (2020年7月2日 22時) (
レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
奏斗(プロフ) - 展開が読めないところが面白い！惹かれた！更新頑張って！(思わずタメで話しちゃったけど、覚えてないよね、ごめんなさい) (2020年7月2日 22時) (レス) id: 2650d5f3fb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - 絵が上手くなりたいさん» 完全に打ち間違えでした、ご指摘ありがとうございます！ (2020年7月2日 18時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - 消防車？救急車じゃなくて？(きつく聞こえてたらすみません)夢主ちゃんいい性格してる (2020年7月2日 18時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます！読者の皆様に楽しんで頂けるよう、今後も精進してまいりますので、楽しんで頂けたら本望です(*^^*) (2020年7月2日 12時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハクト | 作成日時：2020年7月1日 22時
