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 駅近くで待ち合わせ。


 腕時計で時間を見れば、待ち合わせの時間まであと5分。

 …まあ、そろそろ来るでしょ。壁にもたれて相手を待っていれば、お目当てじゃない人に声を掛けられた。

 「お姉さん、モデルとか興味ないですか?」

 チャラそうなお兄さんがにっこり笑う。モテそうな顔立ち。

 「ないです。」

 にっこり笑って断れば、慌てたようにお兄さんが名刺を取り出した。名刺の出し方慣れてる…。

 「怪しいものじゃないですよ。これ、名刺です。」


 …別に怪しいから断ったわけじゃないんだけど。

 渡された名刺を見れば、聞いたことのある会社名が記載されてる。…結構大手じゃない?


 「で、どうです?」

 「あ、大丈夫です。」

 だからと言って、モデルをするつもりはないから断るも、お兄さんも諦めが悪いのか引き下がってくれない。




 「…何しとるん。」

 「モデルの勧誘されてる。」

 後ろからひょこり現れた待ち合わせ相手の志麻にそう言えば、お兄さんの目がまた輝いた。まあ、顔いいもんね。

 「お兄さんもイケメンですね!お姉さんと一緒にモデル興味ないですか?」

 あら、矛先が志麻にも向いた。この間に逃げても面白そうだけど後が怖いからやめておこう。自分の首を自分で絞める趣味はないし。

 「興味ないんで。あとおにーサン、コイツ顔はええけど、それだけやから気いつけた方がええよ。」


 …何だとコイツ、失礼な。志麻だって、顔だけじゃん。

 まあ、お互い顔が好きすぎるってだけで付き合ってるんだから何も言えないけど。


 「…まあまた、興味があれば名刺の番号に連絡ください。2人ならいつでも歓迎なんで。」

 すっと退いて行ったお兄さん。渡されたものを捨てるわけにもいかないし、仕方ないから名刺をカバンに入れた。

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月28日 0時

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