WANTED (ページ25)

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「じゃ次、船長決めな。ちなみに俺は航海士専門やからパスで。」

「普通航海士が船長するやないん？」

早々と離脱宣言をするジュンタに対して、冷静なツッコミを入れるカミちゃん。

やけどジュンタも負けじと航海士が船長するって決まってるわけじゃないと反論する。

「それにそれ言うたら船の事知り尽くしてて操舵も出来るアキトの方がええんちゃうん。」

「いやいやいや！それ言うたらタカヒロかて操舵できるやん！」

何やら擦り付け合いになってきた。

シゲと目配せしてだんまりを決め込む。

まぁ、俺らが船長に選ばれることはないやろうからな。

「えぇ～、俺はカミちゃんもいいと思うけどなぁ。」

「俺コックやし。」

やいやい言い合うが中々決まらない。

するとシゲが口を開いた。勇者。

「あの～、投票にしたら……？」

「ええか、目瞑って下向いてせーのって言ったらその人を指さすんやで。」

そんなジュンタの声を耳に目を閉じそっと下を向く。

この中で船長になってもらうなら……。

俺はやっぱり命の恩人であるハマちゃんにやって欲しい。

「せーのっ！」

そんな気持ちでハマちゃんを指さした。

「……もうええ？」

イラチなのかアキトが早々に言う。

皆で一斉に顔を上げようと決まり、俺はそっと顔を上げて目を開いた。

「ええーーーーーーっ！嘘やろ！？なんっでなん！？」

ハマちゃんの大声につい笑ってしまう。

本人以外、全員ハマちゃんを指さしていたから。

アキトも腹がよじれるんじゃないかってくらい爆笑してる。

当の本人は何故か手を地面につけている。

「それ何なん？」

カミちゃんが言うと、どうやら決めなくてよくね？という意味だったらしい。

やけど全員一致なんやからもうこれは決定やろ。

「ってことで、これから頼むで！船長！」

「……あぃ……。」

ジュンタにそう言われ、満場一致の結果に渋々返事をするハマちゃん。

それから2週間くらい「船長！」と呼ばれるのがブームになった。