WANTED (ページ19)

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甲板に出ると、そこには俺らと同い年くらいの男の子が立っていた。

俺ら以外にも拘束されてた子がおったんや。

そう思っていたのもつかの間。

「何やコイツら。」

「へっ？」

可愛い見た目に反して眉間にシワを寄せながらドキツイ言葉を吐く。

頭がついていかず2人でオロオロするしかない。

「ああ、売られる為に拘束されとったから解放してん。」

さっきのお兄さんがニコニコとその子に言う。

ってことは、この子も仲間の海賊ってこと？

いつの間にかその子の後ろに柄の悪いお兄さんがもう2人いる。

ヤバい。これはヤバい！

手に汗がにじむのがわかる。

「この子ら仲間にしよう！」

「「「はぁ？！」」」

助けてくれたお兄さんの突拍子もない発言に全員の視線が集中する。

いや、てか「はぁ？！」はこっちのセリフなんですけど！

リュウセイも目が点になっとる。

「いやだって行くとこないんやろ？」

こちらを向くお兄さん。

俺達はただ首を縦に振る事しかできない。

いや、けど、海賊に？俺が？

混乱してる俺を他所に話は進む。

「いやいや！子供に一体何させる気やねん！」

「……それは俺にも言うてる？」

「いや、モンチとは立場がちゃうやん！」

1番ゴツイお兄さんと可愛い男の子は何か喧嘩？が始まってもうたし。

「せやけどアキトの言う事も一理あるで。何ができるん？この子らに。」

唇が印象的なお兄さんも俺らをチラッと見てすぐに目を逸らす。

「ん～そやなぁ。……戦闘員！君ら戦闘員なれへん？！」

「こんな子供に戦わすんか！」

すかさずアキト？さんがツッコミを入れる。

「やって俺もこの子らくらいの時から戦ってたで？それに、俺しか今戦える奴おらんやん。え、何や皆いざとなったら戦ってくれるんか？」

ニッコリ笑顔やけど目が笑ってないお兄さん。

海賊たちがうーんと頭を悩ませ出した瞬間、リュウセイが口を開いた。

「俺やります。戦闘員。」

「え？！リュウセイ自分が何言ってるんかわかってるんか？！」

「わかってるよ。やってこれからどうする事もできへんし、お兄さんは命の恩人や。恩はちゃんと返さな。」

よろしくお願いします、と頭を下げるリュウセイ。

確かに、命の恩人で、しかもせっかく拾ってくれるって言ってるのに何を迷う事あるんや。

断ったとして俺1人だけで生きていけるんか？

「……俺も、よろしくお願いします。」

答えは自然に出た。

「俺はハマダタカヒロ。よろしくな。」

これが俺らの出会い。