プロセカ体調不良、弱り系話

東雲兄弟　相手の才能 ページ22

絵名side

歌の才能があると思います！
うたのさいのうがあるとおもいます！
ウタノサイノウガアルトオモイマス！
歌の…才能が…

頭の中で、繰り返される
耐えきれなくなり、その場からだっと走る

なんなの…！
なんなのよ！

なんで…こんなに嬉しくないんだろう
才能よ？
そんなことを言われたのは初めてだった

でも…
何も嬉しくなかった
むしろ、嫌だ

なんで…
なんで、こうなのよ

こんな才能…


走り過ぎて、少し疲れる
すると、放送が流れた

『これから、結果発表を行います。出場した方は、ステージの方に……』
いいわよ

証明してやる
私に歌の才能がないこと

それなら、気持ちが落ち着く
私みたいな素人が勝つわけないものね




ステージに行くと、歌った時とは違う雰囲気があった
色々な人が、願っている

勝ちたいっていう、綺麗な願いを

「それでは、結果発表を行います。ソロ、グループ、そして、総合として分けられます」
司会が説明を始める

「まずは、グループです。準優勝、Vivid BAD SQUAD」
わぁ…！

観客から拍手が起こる
でも…

彰人達は、決して喜んでいるとは言えない表情をしていた

「そして、グループ優勝。優勝を手にしたグループは… MORE MORE JUMP！」
観客から、歓声が起こる

愛莉達を見ると、凛とした表情を浮かべて笑っている4人がいた

「準優勝者、優勝者の代表は、出てきてください」
Vivid BAD SQUADからは、こはねちゃん
MORE MORE JUMP！からは、みのりちゃんが出ていた

「続いて、ソロです。ソロの場合、優勝者、一名だけとなります」
ほら、一名だけなら、私が選ばれる確率なんてないじゃない

どうせ、賞を取るのは別の……
「優勝者は、東雲絵名さんです！」
ワァー！

…は？
なに…いってんのよ…

目の前に広がる光景が、白黒になって行く
そんな訳ないじゃない。だって…だって…

「グループ準優勝代表、グループ優勝代表、そして、東雲絵名さんは、こちらにきてください」
体が、上手く動かない

賞状とトロフィーを持つ手が震える
涙も自然に出てくる

きっと周りには、嬉しくて泣いているように見えるんだろうな
それなら…

それなら、どれほどよかったのでしょうね








家に帰ると、まだ部屋に残っている筆が私を見つめる

「ああああああああああああああ！」
筆を投げつけて、折って、手のひらにぎゅっと入れる

なんで…？

「なんでなのよ！」

こんな…
「こんな才能…！いらないわよ！」

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