関西家族物語。2

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次の日の朝、彼は、珍しく早い時間に自分で起きてきました。


「A、ちゃんと話、しようや。」


できた朝ごはんを机に並べ、私は彼と向かい合いました。


そこで、彼が話してくれたのは、昔から聞いていた、夢の話。


その夢を実現させるには、会社を変える必要があったこと。


好条件でこのわがままを受け入れてもらう条件が、単身赴任だったこと。


不安にさせたくないから、全て終わってからしか話したくなかったこと。


「でも、やっぱ、ちょっとは、男の意地とプライドもあるわ。ほんまごめん。」


本当は、一緒にいてほしい。息子が大きくなるまで、待ってほしい。それが本音でした。


でも、彼と結婚したとき、語っていた、彼の夢。


夢を追いかける彼の姿は、何よりもかっこいいのです。それが、彼に惚れた理由の一つでもありました。


考えて、悩んで、彼の夢の後押しをすることに決めました。




その日は、彼が息子とお風呂に入りました。


タオルを持っていくと、声が聞こえてきて、思わず聞き耳をたてました。


「大毅、 男の約束や。男の約束は、絶対やぞ？」


「わかった！」


「よし。なら、指切りげんまんや！」


「ゆーびきーりげんまん、うそついたらはーりせーんぼん……」


何を約束したのかは知りませんが、きっと、伝えられたのでしょう。


口下手な彼が、まだ4才の息子に、ちゃんと伝えられるのか、不安でいっぱいでしたが、少し安心して、脱衣所をあとにしました。

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