関西家族物語。

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……と、思っていたのに。


「陽性です。お母さん、しっかりうつされちゃったね。」


家族全員お世話になっているお医者さんから、苦笑いをしながら報告されて、やっと引いてきた鼻の奥の痛みがぶり返してきました。




崇裕が、やっと治って学校に行き始めたと思ったら、今度は自分がふらふらになっていて。


さすがに小学二年生の崇裕を一人家に置いておくわけにもいかず、五日間も仕事を休みました。


その上、次は自分が、なんて、洒落になりません。


でもしかたがないので、職場には電話をいれ、謝り倒しました。


理解ある職場なので、むしろ体調を心配されたくらいで、本当にいい仕事につけたなと思いつつ、申しわけないと思いながらもタクシーにのって家に帰りました。




夫に連絡したら、すぐに電話がかかってきて、


「大丈夫か？！今どこ？！俺迎えに行こか？！」


と大パニックを起こしていて、ちょっと笑ってしまいました。


「大丈夫、もう帰ってきたから。大毅のお迎えだけお願い。」


「おん、ほんまに無理したらあかんで？ちゃんと寝とってな？」


「はいはい、ありがとう。」


心配性の夫を宥めて電話を切ると、すぐに限界の体力を投げ出すかのようにベッドに入りました。


「ただいまー……、ママ？」


気づいたら、隣にランドセルを背負ったままの崇裕が心配そうな顔で立っていました。


「ごめん、ママもインフルエンザかかってもうたから、早く、宿題してき？」


「……俺の、うつってもうたん？」


「どうやろね、どこで拾ったかはわからんけど。」


「熱はかったん？」


「はかったよ、病院で。」


「何度やったん？」


「思い出すとしんどいから言わへん。ほら、こんなとこおらんと、リビング行き。」


息も絶え絶え、というと大袈裟ですが、なかなかしんどくて、とりあえず崇裕を追い出しました。


崇裕は、不満そうに口を尖らせながらも、部屋を出ていきました。


バタン、ドアがしまるのを確認し、私は大きくため息をついて、目を瞑りました。

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