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何故か知らないがお2人の家に来た僕は今ココアを飲んでいる。
「Aっち痩せすぎぢゃね!」と一二三さんが太れ!と持ってきたもの。
多分こんなもんじゃ大して変わらないだろうけど。
2人にはまだ例の一件は話していない。
引かれそうだったしどう話が漏れるかも分からないし。
『あ、あの、僕いつ帰ればいいですかね、』
「、、、帰るのか?」
隣に座っていた独歩さんが酷い隈を抱えた目でこちらを見ている。
『流石に長いことお世話になるのはご迷惑でしょうし、家族も心配しますし、』
「、、そうだな、家族は大事だ。俺も弟の帰りが遅かった時はすごく心配したもんだ。」
独歩さんは見かけによらずお兄さん気質なところがあるようで時折"お兄さん"が見える。
「自分はそうでもないと思っていても家族はその何倍も心配するし、不安になる。」
早く帰ってお兄さんに顔を見せてやるのが一番だ、と独歩さんは僕の頭を撫でてそのままテーブルに倒れ込んで寝た。
相当疲れてたのだろう。
少し元気が出た、というか「帰ってもいいのだ」と言う安心感。
『ありがとうございます』
今日は色んな人に助けられた。
左馬刻さん、寂雷先生、独歩さん、一二三さん
この世界も捨てたもんじゃない。
素敵な人達も居るんだ、と少し心が温かくなった。
ココアのせいもあるかもしれない。
「とりあえず今日は泊まってさ、明日とか明後日に帰ればいーじゃん?」
台所から一二三さんが自分の分のココアを持って戻ってきた。
「あれぇ?独歩ちん寝ちゃってんの?」
独歩さんにブランケットをかけてからテーブルを挟んで僕の目の前に座る。
「ま、俺っち達はいつでもここにいるし。好きな時にまた来てね、」
きらきらスマイルについ釣られて笑顔になる。
『はい、ありがとうございます』
「無理は禁物だよぉ。Aっちがどうして病院に居たのか、事情は知らないけど。俺っちとの約束ね。」
__約束
そうだ約束。
僕はまだあれから開放された訳ではない。
『ええ、約束します。必ず。』
明日もいつも通り。
普段通りにあの路地裏に。
もはや当たり前のスケジュール。
脳がツラい事だと認識することさえも怠り始めている。
こんなお日様のような人達に触れて溶かされかけた心が溶け切ることは無かった。
そう、溶けてしまえばそれは負け。
何も考えずに、
落ち着いて、
ただあの男に、
この身を差し出せばそれでいい。
誰も悲しむことは無い。
僕がいれば大丈夫なのだ。
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リエル(プロフ) - ううううううううう…終わってしまった… (2019年4月3日 23時) (レス) id: 4f0744403a (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - わあああ独歩とのおまけ有難う御座います好きですぅぅ…………兄弟もとい家族愛的な関係とてもよきですた……何かあった時に一郎達とは別に頼れるお兄さんで優しく見守っててくれる感じがとても微笑ましいというかもう尊い……有難う御座いました(*´ω`*) (2019年3月27日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 既に投票済みです……だと……?! (2019年3月1日 16時) (レス) id: 77336b66d1 (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - それと、もし宜しければ独歩とのおまけもあの…是非……!!!!!!! (2019年3月1日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - コメント失礼致します。ドシリアスな中にちょいちょい挟まれるギャグがとても良い味を出してて、あの、全体的に好きです。(語彙力)取り敢えず四男君をずっとあれしてた男はウサポリ公にガチでしょっぴかれてたら良いなって思いました。 (2019年3月1日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:須臾 | 作成日時:2018年12月5日 22時