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「おう、A帰んの随分遅かったじゃねえか、心配したんだぞ」
『い、いちにぃ、ごめんなさい』
あれから少し気持ちを落ち着かせてなんとか帰ってきた。
まだ下半身は穢いままなのでさっさとお風呂に入りたい。
「これからはちゃんと連絡しろよ、ほら、風呂入ってこい。それから皆で飯だ」
『分かりました、!』
随分心配させてしまったようで自分に呆れる。
『はぁ、』
服を脱ぐとあの男に付けられた傷が赤くなっている。
痛痒くて、鬱陶しくて、忌々しい痕が残ってしまった。
こんなもの誰にも見せられない。
「A、?」
『ひゃ、っ!じろ、にぃ?』
「おっ、おお、そんなにびっくりしなくてもいいじゃねえか」
『ご、ごめんなさい。あの何か御用ですか?』
危うく見られるところだった。
じろにぃに見られたら一瞬で皆にバレる、絶対に。
、、、じろにぃ自身は気付かなそうだけど、(失礼)
「いや、帰ってくんの遅かったし大丈夫かと思ってよ、兄ちゃんも三郎も心配してたしな。あんま夜にふらふらすんなよ。」
『はい、心配かけてごめんなさいじろにぃ、、』
「まあお前が嫌な目にあってたらすぐ駆けつけてやっから何でも言えよ!」
そう笑って脱衣所のドアを閉めてリビングに戻っていった。
遠くからさぶにぃの罵る声が聞こえてくる。
兄たちが優しくしてくるほど罪悪感にのまれそうになる。
愛してくれたこの身体に傷をつけてしまった。
『後悔したって遅いし、自分の身を自分で守れない僕が悪いんだけど、、』
うじうじしてても仕方がない。
ああしないと兄たちがあんな目に遭っていたのかもしれないと思うとあながち自分の選択も間違っていなかったのかなとも思う。
『さあ、ご飯ご飯。』
さかさかとお風呂も終わらせて兄たちの待つ食卓へ行こう。
バレなければ大丈夫だ。
兄たちを守り続けられるのだ。
こんな傷や痕なんてそれに比べればなんてことないさ、と明るく、笑顔で、鏡の中の自分の目の中の自分へ語る。
全ての自分は笑っていた。
目の中の自分は滲んで歪んでいたけれど。
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リエル(プロフ) - ううううううううう…終わってしまった… (2019年4月3日 23時) (レス) id: 4f0744403a (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - わあああ独歩とのおまけ有難う御座います好きですぅぅ…………兄弟もとい家族愛的な関係とてもよきですた……何かあった時に一郎達とは別に頼れるお兄さんで優しく見守っててくれる感じがとても微笑ましいというかもう尊い……有難う御座いました(*´ω`*) (2019年3月27日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 既に投票済みです……だと……?! (2019年3月1日 16時) (レス) id: 77336b66d1 (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - それと、もし宜しければ独歩とのおまけもあの…是非……!!!!!!! (2019年3月1日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - コメント失礼致します。ドシリアスな中にちょいちょい挟まれるギャグがとても良い味を出してて、あの、全体的に好きです。(語彙力)取り敢えず四男君をずっとあれしてた男はウサポリ公にガチでしょっぴかれてたら良いなって思いました。 (2019年3月1日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:須臾 | 作成日時:2018年12月5日 22時