【H×H】図書館の魔女は愛を知りたい。【HUNTER × HUNTER】 (ページ5)

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放浪癖の小悪魔ページ5

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『なんで私の能力を使わないの？』

いつだったか、Aに聞かれたことがある。

その不思議そうな顔は、なんでもないただの好奇心で満たされている様子で。

オレと似ているようで全く違う彼女の能力は、移動面にもとても長けている。

知っているところなら、何処へでも飛んでいける能力。

代わりに、一時的に彼女の足がつかえなくなるけれど。

だから急ぎや仕事の時以外は基本的に使わせないし、使わせないようにいつも先手を打っていた。

彼女が自分の腕の中にいるのは優越感をおぼえるけど、偶に不便そうに顔をしかめる姿は、少し癪だ。

それに、たまにの方がトクベツな気がして心躍るだろう。

鼻歌を歌いながら自分に手を惹かれて歩くAを横目に、これからのことを考える。

彼女はきっと、次の拠点となるホテルに着いたら外に出るだろう。

暫く引きこもっていたから、散歩ついでに体を慣らしに行くはずだ。

でも、隣町ではハンター試験が行われるらしいから、殺りごたえの良さそうな奴はそっちに行ってしまうだろうか。

そうだ、ハンター試験。

「A、ヒソカはハンター試験を受けるらしい。」

『はんたーしけん？なんで？』

「ライセンスが欲しいのと、青い果実を。」

『ふーん、私だけでいいのに。』

首を傾げて聞いてくるAに答えれば、青い果実に嫉妬したように文句を垂れる。

彼女はどうにも、独占欲が強い。

自分は相手のものになることはないくせに、相手を自分のものにしたがる傾向がある。

気に入った相手ならなおのこと、それが顕著に現れる。

そもそもアイツは、殺し合うという行為と、自分が追い込まれるというスリルを楽しむだけでなく、相手をいたぶり殺すという行為自体を楽しむ。

彼女だけではその残虐性の欲求不満を解消できないろう。

思考を巡らせている間に、次の拠点となるホテルに着いた。

チェックインをして部屋に入ると、少し古びた絨毯とソファがみえる。

壁は少し黄ばんでいた。

それがあまり気に入らなかったらしい。Aは顔を顰めていた。

彼女が、踵をかえしてこちらを向く。

『じゃあ私、ヒソカのところ行ってくる。』

お忍び用の服に着替えた彼女は、一言呟いて部屋を出ていく。

引き止める暇も無いほどに素早い。

全く、その放浪癖と小悪魔っぷりは誰に似たのだろうか。