未来予知 ページ39
昌平君に付き従って去ろうとすると、呂不韋が待ったの声をかける。振り向くと楽しそうにご自慢の髭を撫でていた。
呂不韋 「Aよ！…そういえば、
お主が勝負に勝ったら、なんでも
一つ欲しいものを渡す約束をしておったな。
歌姫・Aは何を求める？
金か？名声か？…それとも男か？
好きなものを申してみよ！」
その言葉に騒めく諸侯の男たち。
呂不韋の力を持ってすれば、きっとなんでも手に入るだろあろう。男達が固唾を飲んで見守る中、彼女が望んだものは誰一人として予想できない物だった。
A「…そうですね。
わたしの望みは……
歌姫の初舞台は、
山陽で戦う兵士達に捧げたいです。
山陽には、これからの大きな一手に繋がる
大切な場所ですから」
昌平君 「ッッ！！！」
呂不韋 「そんな物でいいのか…。
約束通り、お主の好きにするといい」
蔡沢 「フォッフォッフォッ！」
Aの意図を理解した者は、その場にただ一人。
そして、中華を探しても、同じく理解できるのは
李牧と春申君のみだけだった。
昌平君 「…(Aッ…気づいているとでも言うのか。まさか…
この一手を俺以外に気付く者がいるとは…)」
鷹を括っていた所もあるが、正直驚きだった。
今回の戦のせいか、愛弟子の異常な成長、
未来予知にも匹敵する推察、
底知れぬ彼女の伸び代に背筋が凍る。
これからは、山陽に拠点を置いて本格的に中華統一への道を進む計画を、きっと彼女は知らない。なのに、昌平君に何かを伝えるように見つめながら発した言葉は、明らかに自分の意図を理解している。
昌平君 「…はぁー(これは、早々に返してやれんな)…A、私の部屋へ来なさい」
A「先生…わたしっ、
このあとも、色々用事があって…！」
昌平君 「いいから。…言うことを聞きなさい」
そう言って強引に掴んだ彼女の腕は、
武人とは思えない程細く、か弱いものだった。
⭐⭐
パタンと締めた自室に、公式の場で着飾っていた服を脱いで身動きしやすい部屋着へ変わっていく昌平君。
A「先生…さっきからため息ばっかり」
昌平君 「…！」
指摘されるまで気づかなかったが、
心の憂鬱な気分が自然と出てしまっていたらしい。
昌平君 「…はぁー。誰のせいだ。まったく」
そう言って大きな手が、Aの頭をポンポンと撫でる。その顔は、呂氏四柱の人でも軍総司令でもなく…Aの大好きな先生の顔である。
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イルカ - とっても面白いです！！続きが気になって気になって… 更新、楽しみにしてます！ (2020年11月11日 16時) (
レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - のだめさん» のだめさん。リクエストありがとうございます！明るいシリーズ書きたかったので早速書いてみますね！ (2020年11月3日 22時) (レス) id: 32e2b69621 (このIDを非表示/違反報告)
のだめ - このシリーズの４？くらいで、もしも結婚したら的な小話あったじゃないですか、、リクエストで、呉鳳明と項翼、白麗の3人も見てみたいです (2020年11月3日 21時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 鮮花さん» リクエストありがとうございます！こっちか、外伝の方に書いてみますね！ (2020年10月24日 19時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
鮮花 - リクエストで、番外編で昌平君との話を見てみたいです。「甘めで (2020年10月23日 20時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：09kokoa | 作成日時：2020年10月6日 22時
