天姿国色.2 ページ12
A「信っ……!
わたしっ…さっき酷いこと言って、ごめん…
信 「謝るなッ!」
力が入らない体にも、信の声は全身に響いた。
敵である輪虎の死を悲しみ、
心配してくれた信に酷いことを言ってしまったと
ずっと後悔していた。
だが、彼はそれを否定した。
信 「A、お前に約束する。
輪虎の死は、絶対無駄にしない。
あの戦いをでっけェ糧にして、
俺はもっと強くなる!
だから、俺は謝らねェ。
お前も俺に謝る必要なんてねーんだ!」
A「……信」
雨が降っていて良かった。
だって、戦場なのに、こんなに涙が出て
止まらないんだ。
信 「それよりも、お前はバカか!
こんなんなるまで無茶しながって…」
力任せに抱きしめられた腕も、
いつもより更に逞しくなっていて
Aは目を瞑って、大人しく身を任せた。
蒙恬 「はいはい、そこまでねー」
信 「おいッ!蒙恬、お前ばっかりズルいぞ!」
秦国の若造どもが、
Aを取り合って騒ぎ出しているのが見える。
見目麗しい彼女には、当然といえば当然か。
遠い昔の自分たちを少し…思い出させた。
廉頗 「それとも、
秦国に好いた男でもいるのか?」
廉頗の言葉に、予想していたなかったAは
顔を真っ赤して、珍しく押し黙る。
A「……っ…//」
ずっと好きという感情が分からなかったけど、
改めて命の危機を感じて分かった。
…脳裏には、愛しいあの人が浮かぶ。
ぽっ…と赤く染まった頬に、男たちは
「好きな相手は自分であってくれ!」と心の声が
揃った。
A 「廉頗将軍…。
私はここ(秦国)で、大切な人たちと
生きていきます…」
そう微笑んだ顔は、かつての宝と重なり、
惚れていた頃の熱い気持ちが
胸の中で呼び起こされた。
廉頗 「…(また秦国の男にくれてやるしかないとは…)
Aよ、この廉頗が認めよう。
うぬの器量・武力はやがて
秦国一美しい武将になるだろう。
お前ほど、
いい女はこの世にいない。
成長した姿が楽しみじゃァ…」
そう言って、
豪快に笑いながら廉頗が去っていく。
これで、本当に長かったこの戦も終わりを告げた。
⭐⭐
そういえば、ここにきた約束を思い出して
信の手を取る。
A「…約束…したの。
瘣と、ぜったい…信を連れて、戻ってくる…て」
糸が切れたように、意識が朦朧した。
繋ぎとめてきた物を失い
そのまま信の体に倒れこむ。
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イルカ - とっても面白いです!!続きが気になって気になって… 更新、楽しみにしてます! (2020年11月11日 16時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - のだめさん» のだめさん。リクエストありがとうございます!明るいシリーズ書きたかったので早速書いてみますね! (2020年11月3日 22時) (レス) id: 32e2b69621 (このIDを非表示/違反報告)
のだめ - このシリーズの4?くらいで、もしも結婚したら的な小話あったじゃないですか、、リクエストで、呉鳳明と項翼、白麗の3人も見てみたいです (2020年11月3日 21時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 鮮花さん» リクエストありがとうございます!こっちか、外伝の方に書いてみますね! (2020年10月24日 19時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
鮮花 - リクエストで、番外編で昌平君との話を見てみたいです。「甘めで (2020年10月23日 20時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:09kokoa | 作成日時:2020年10月6日 22時