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俺は花子に笑っていて欲しいと思ってる


『おかえりなさい』も『いってらっしゃい』も


心配気な顔も


暖かいご飯も





あの手も

顔も

身体も



…ーーー心も



全部俺のものだと


俺だけのものだと





そうか、俺はいつの間にか花子のことを好きだったのか



漸く正解したかと嘲笑うかのようにストンと胸へと落ちた







だからか


花子が俺に笑い掛けてくれないことをこんなにも物悲しく感じるのは

花子が居ない日々がこんなにも色褪せているのは




『…はは』




自嘲的な笑いを溢す俺を硝子が怪訝そうに見る



ああ…

どんだけ馬鹿なんだ俺は




少し前までは瑞季に向かっていた気持ちが今は完璧に花子しか向いていないことを自覚し、今さら調子のいい自分に自然と溜め息が出た

俺はあの時、花子の手を振り払って瑞季を選んだ

初めてだった

花子が我が儘を言ったのは


…そしてその唯一を振り払ったのは紛れもない自分だ




取り敢えず過去の自分をぶん殴りたい


そんで今度会ったらちゃんとしよう

最初からやり直そう









と、思っていたのに











走馬燈のように数日前にした硝子との遣り取りを想起した僕は、表情なくこちらを見上げれ花子と視線を交わらせている

僕が告げた「戻ってこい」にコテンと不思議そうに首を傾げオウム返しする花子はどうやら意味を理解できていない


「うん、もう一度一緒に暮らそう。二人で」

「いえ、結構です」

「え?」


考えるまでもなく吐き出されたひと言に思考が一時停止する

え、誰に言ったの?と後ろを振り向くが生憎この空間には僕と花子しか存在しない


…え、僕に言ったの?マジで?

混乱した頭で漸く理解する



「な、んで?」


断られると思っていなかった僕の動揺は凄まじい


「そんなことより早く任務へ向かわないといけませんので」

「待って待って待ってお願いだから待って」


僕の驚きを放置してさっさと玄関に向かおうとする花子を必死で引き留める

それはもうここ最近一番の必死さで


「……あの、困ります。早く行かないと被害が出るかもしれません」

「ダイジョブダイジョブーっ!それなら僕が請け負ってチョチョイのちょーいって祓ってきたから!」

「困ります」

「困るの?!大丈夫報酬は花子に入ってくるから!」

「困ります」

「どう転んでも困るんだ?!」


僕と花子の間に猛烈に分厚い壁を感じて花子を引き留めていた手に更に力を込めた

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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時

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