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＊
「あ、配属どこでしたか？」
大事なことを思い出して、そっと腕の中から離れた。
「んー？」
泣いてるくせに、意地悪そうに笑う顔。
でも、本社だったら…さみしいな…
「大阪支社」
にっと笑う唇にそっと胸をなでおろす。
「よかったー」
「…なんで？」
ちょっと、大吾さんニヤニヤ笑いすぎ。
「そりゃ、近くにいたいじゃないですか！大吾さんは希望なんて書いたんですか？」
言わされてるみたいで悔しいから仕返し。
「大阪…って書いたけど」
「えー、なんでですか？」
「おい、A、調子のんな」
「いいじゃないですか、ちょっとくらい」
わたしはそっと細くて綺麗な指先を絡めとった。
「…Aと一緒にいたいからに決まってるやん」
ぎゅっと握り返される手のひら。
「仕方ないので、一緒にいてあげます」
「ほんまどの口が言うてんの？」
にっと笑った口元がふわっと近づいてきて、そっと触れるくらいのキス…
柔らかそうな唇は本当に柔らかかったみたい。
「…」
熱くなる身体と唇に残る感触にふわふわしてなんかとろけそう。
大吾さんの唇にちょっぴり移った口紅のパールが煌いた。
「A？」
大吾さん微笑みながら首をかしげる。
ふとわかった気がした。
大吾さんは声に出して歌わないけど、きっと心で歌えるんだ。
ぶっきらぼうな口調からは想像できないような繊細な歌詞と整った字が浮かぶ。
またききたいなぁ…いつか…
でも今は、そっと胸の中の宝箱にしまっておく。
「うーん、浮気はしないでくださいねって思って」
「それは俺の台詞やろ」
「えー」
「やっぱり正門とか言われたらまじで道頓堀から身投げする」
「ちょっ…」
真顔で言うから笑ってしまった。
「場所選んでください」
「そこかよ。止めろよ」
大吾さんは呆れたように笑いながらわたしの頭をくしゃっと撫でた。
「心配しなくても、もう大吾さんだけです」
そっと背伸びして唇に触れると溢れてしまいそうな愛しさに、またじんわりと胸があたたかくなる。
正門さんに出会えて、誰かの夢を一緒に追いかけてまっすぐに恋したことも、
大吾さんに出会えて、心の底から信頼して今ここにいることも、
全部全部間違いじゃない。運命でもない。
神様の悪戯とわたしが選んだもの。
大切な彼と大好きな彼の優しさに包まれて、また明日へ歩き出す。
アコースティックギターのイントロがそっと流れ出すように。
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Bear(プロフ) - 最後に涙腺が崩壊しました。こんなに最高な作品にはしばらく会えなそうです (2021年12月14日 22時) (
レス) @page45 id: 3daf0f2645 (このIDを非表示/違反報告)
むたむた - どんでん返しに泣きました。夜通し読んじゃいました。ステキな作品をありがとうございます！！！ (2021年6月3日 4時) (レス) id: 738b505511 (このIDを非表示/違反報告)
林芽亜里 - 一気に完結まで読み尽してしました！！もう素晴らしすぎて(*´∇｀*)最初は、正門くんとハッピーエンドを迎えると思っていたけど、大吾くんと最終的に結ばれて、思ってもいない展開でビックリしました(^｡^)幸せな時間をありがとうございました(#^.^#) (2020年5月27日 22時) (レス) id: 9f77b0a91a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - もう最高でした！！大好きなまさにしのお話ってだけでも嬉しかったのにこんな素敵なお話、もう最高すぎました！この作品の大ファンになりました！！楽しい時間をありがとう！また書く機会があったら楽しみにしてます！！ありがとうございました！！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: db8a594314 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 初めは正門くんとエンド迎えるんかなって思ってたんですけど最後西畑くんと幸せになっててびっくりとよかったなって涙出ました！！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: ee2a92e956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華音 | 作成日時：2019年5月16日 22時
