120 ページ27
＊
くりっとした瞳にわたしが映ってゆらゆら揺れる。
「…やめて」
大吾さんは目をそらしてそっと下を向いた。
「期待するからやめて」
消えそうな声。
窓から日差しが差し込んで、前を向いて大吾さんは歩き始めた。
「でも、就活で困ったことあったら連絡してきてええよ。一応先輩やし」
白いタートルネックを着た背中を追いかけるように歩く。
「余裕なんやったらあれやけど」
「いやもう既に書類選考で落とされまくってますね…はは…」
言いながら笑えない。
「大吾さん就活余裕そうでしたもんね…」
「まぁ俺はバイトリーダーの肩書きが強かっただけやろ」
なんかいつも通りの空気に戻ってちょっとホッとする。
「Aは明るいし、愛嬌あるし大丈夫」
「まぁね」
「ちょっと泣き虫やけどな」
「それは…」
大吾さんの前じゃ安心しちゃうからって言いそうになって口をつぐむ。
「バイト遅れんで」
いつのまにか校舎の入り口までたどり着いていた。
「うわ！ほんまや！もう！いってきます」
「はいはい、いってらっしゃい」
少し腕まくりをした右手を、大吾さんはゆるく振りながら微笑んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 584人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Bear(プロフ) - 最後に涙腺が崩壊しました。こんなに最高な作品にはしばらく会えなそうです (2021年12月14日 22時) (
レス) @page45 id: 3daf0f2645 (このIDを非表示/違反報告)
むたむた - どんでん返しに泣きました。夜通し読んじゃいました。ステキな作品をありがとうございます！！！ (2021年6月3日 4時) (レス) id: 738b505511 (このIDを非表示/違反報告)
林芽亜里 - 一気に完結まで読み尽してしました！！もう素晴らしすぎて(*´∇｀*)最初は、正門くんとハッピーエンドを迎えると思っていたけど、大吾くんと最終的に結ばれて、思ってもいない展開でビックリしました(^｡^)幸せな時間をありがとうございました(#^.^#) (2020年5月27日 22時) (レス) id: 9f77b0a91a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - もう最高でした！！大好きなまさにしのお話ってだけでも嬉しかったのにこんな素敵なお話、もう最高すぎました！この作品の大ファンになりました！！楽しい時間をありがとう！また書く機会があったら楽しみにしてます！！ありがとうございました！！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: db8a594314 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 初めは正門くんとエンド迎えるんかなって思ってたんですけど最後西畑くんと幸せになっててびっくりとよかったなって涙出ました！！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: ee2a92e956 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華音 | 作成日時：2019年5月16日 22時
