君へのSong (ページ40)

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40＊Daigo Side ページ40

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「なに？話って」

時たま陽気な電子音が鳴り響く店内で、
俺は私服に着替えて、正門の前に座っていた。

Aの病欠分をカバーしてたら労働基準法に触れそうなシフト続きで疲れてるっていうのに、

突然やってきた正門は、話があるから俺のバイトが終わるまで待ってるとか言い出して今に至る。

「ごめんな。疲れてんのに」

「ええよ」

自分で入れてきた烏龍茶にストローをさしながら俺はどこを見てええんかわからんくなる。

「大吾、Aちゃんのことやねんけどさ…」

ああ…きたか…

「いろいろありがとうな。あれからちゃんと謝った」

「あんま泣かすなよ」

口を尖らせて別に飲みたくない烏龍茶を吸う。

「Aちゃん、なんか言うてた？」

言うてたで。彩月さんにいびられて、お前にキスされて振り回されとるって！とはさすがに言えへん。

「なんか…言うてたとしても正門に言ってええんかわからへん」

「せやんな。ごめん」

正門は空っぽのミートドリアの皿を見つめてる。

「俺さ、Aちゃんのこと好きやねん」

高校生の頃はかわいい女の子がいるとかそういう話はしても、正門と恋愛の話なんて真面目にしたことなかったななんてふと思い返す。

「大吾はさ、Aちゃんのことどう思ってるん？」

きっと勇気を絞り出してきいてくれてるんやってわかってても、癒えてない傷をぐりぐりとえぐられるんはやっぱり痛い。

なんて答えたらええんかわからんくて黙り込んでしまう。

「まさかって思ったけど、大吾は何とも思ってへん後輩の誕生日に、わざわざ高価な口紅あげるようなことせえへんやんか」

なんでバレてんねん。隠してたわけちゃうけど…

「別にただの後輩やし」

「俺さ、ここまでこれたんは半分は大吾、半分はAちゃんのおかげやと思ってんねん」

「彩月さんと他のファンにしばかれるぞ」

「そう言う意味やなくて、ほんまに思ってんねん」

正門は真剣な目で俺をみてる。

「俺が進路に迷ってた時、音楽関係の専門行けばって進めてくれたんは大吾やったし、卒業して毎日どうしたらいいか悩んでた俺にとりあえず歌ってみればって路上ライブの背中押してくれたんも大吾やんか」

そのおかげで、正門とAが出会ったと思ったら、過去の自分ドンマイすぎるわ。

「俺はAちゃんも大吾も同じくらい大切やから」

「やから告白せえへんの？」

「ちゃうよ。隠したり遠慮したりしたくないねん」