君へのSong (ページ20)

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20＊Daigo Side ページ20

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「大吾さん！お昼一緒に食べましょー！」

チャイムが鳴ってゆすり起こしたAは、のびをしながら誘ってきた。

「友達みんなひどいんですよ。2限空きやからって、わたしをおいてカフェにランチ行くとか言って」

「自業自得やろ」

「いいでしょー？」

「まぁええけど」

ニコニコしながら荷物をまとめるA。

授業受けにきてよかったなんて思ってまうやん。

適当な構内のベンチを探して座った俺たちはコンビニの袋から昼食を取り出す。

まだ紅葉には早いけど過ごしやすいこの秋の時期は、フットサルをしたり、ようわからん楽器を弾いてる人がおったり、なんか大学のモラトリアムを凝縮したみたいな風景が広がってる。

食べ終えたAは、鏡を取り出すとリップを塗り始めた。

「あの高い口紅やめたん？」

「あぁ…なんか…はい」

ファミレスの休憩室で「奮発したんです！」って真っ赤な口紅を俺に見せびらかしてたAを思い出す。

「ふうん」

どうせ正門に似合わんとでも言われたんやろな。

「いつも通りのほうがいいって正門さんに言われちゃいました」

ほんまにそうなんかい。

「告白せんの？正門に」

「えーっ？そんな勇気ないです。フられたらファンもやりづらくなるし」

苦笑いしながら俯くA。

フられへんと思うけど。

正門と恋愛の話はしたことないけど、俺が見てるだけでも十分わかんのに、当事者って気づかんもんなんやろか…

まあそういう俺も、正門にもAにも絶対この気持ち言われへんやろな…

無駄に胸が苦しくなって、ほんまいややわ。

ドラッグストアに売ってそうな使い込まれたリップを俺はボーッと眺めていた。