君へのSong (ページ14)

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次の日、ライブに行くと、菜々緒似が少し離れて立っていた。

演奏が終わって片付けを手伝おうとすると、

「この後打ち合わせやから、今日はええよ」

やんわり断られ、正門さんは菜々緒似の車に乗ってどこかへ行ってしまった。

次のライブも、

その次のライブも、

菜々緒似は現れて、

演奏が終わると正門さんに話しかけにいく。

割り込む勇気もなく、完全に居場所を失ったわたしは、とぼとぼとひとりでロータリーを歩く。

正門さんの夢のため。

だとしてもあんなに毎回来なくてもいいのに。

なんて考えてしまってイヤになる。

正門さんも舞い上がって満更でもなさそう…やし…

「Aちゃん！」

後ろから大好きな声がする。

頬にあったかい缶が触れて

「よかった、間に合った」

振り返ると正門さんが笑ってる。

「どうしたんですか？」

めちゃくちゃ嬉しいくせに、可愛げもない返事をするわたしの口。

「話したいから追いかけてきた」

「大丈夫なんですか、美人さんとの打ち合わせ…」

「美人さん…？あぁ彩月さんのこと？」

彩月さんって言うんや…

下の名前呼び…

「取材の件は、ひと段落ついたから。来月号に載るねんて」

嬉しそうに話す正門さん。

「最近ごめんな、なんか。せっかく来てくれてんのに」

「…わたしは演奏がきけたらそれで大丈夫です…！」

精一杯の強がりやのに、

「そっか…俺が勝手にさみしがってただけか」

そう言って微笑みながら缶コーヒーを開ける正門さん。

ずるいやんそんなん。

さみしかったのはわたしの方やのに…

そんな顔で微笑まれたら…

好きすぎて、

泣きそうになる。